国際的学術誌「ネイチャー」は北京時間6日、中国の「天問1号」による最新研究成果を掲載した。中国科学院国家天文台が主導する国際協力研究チームは、火星探査車「祝融号」着陸エリアで、火星における古代の風の変化を示す堆積シーケンスの証拠を発見し、火星の古代環境が火星の自転軸と氷河期に伴い変化したことを風と砂が記録していることを証明した。人民網が伝えた。
太陽系の惑星で地球に最も似ているとされる火星の現状と変化の歴史は、「地球の未来」を示す可能性があり、火星の気候変動の調査研究が注目を集めている。風と砂の作用は火星後期アマゾニアン紀以降の最も主要な地質営力で、火星表面に広く分布する風成地形を形成し、火星変化後期、近代気候環境の特徴、気候変動のプロセスを沈積によって記録した。しかし原位置、近距離の詳細で体系的な科学観測が不足していたため、火星の風と砂の発生過程や記録された古代気候に関する内容は非常に少ない。
中国科学院国家天文台の李春来氏のチームはこの問題に焦点を当て、中国科学院地質・地球物理研究所の郭正堂氏のチーム、中国科学院青蔵高原(チベット高原)研究所、ブラウン大学、天問1号ミッションプロジェクトチームと共同で、火星ユートピア平原南部の豊富な風成地形に焦点を当て、火星周回機の高分解能カメラ、火星探査車の地形カメラ、マルチスペクトルカメラ、表面成分検出器、気象測定装置などを利用し、高分解能リモートセンシングと近距離・原位置の共同探査を行った。砂丘の形態、表面構造、物質成分などの情報を抽出し、それが示す風向きと形成期を分析。着陸エリアの風向きに大きな変化が生じたことを示す堆積シーケンスの証拠を発見した。そして、これが火星中・高緯度に分布するクリオコナイト層の記録と高い一致性を示し、祝融号着陸エリアが風向きの変化を特徴とする2つの主な気候段階を経たことを明らかにした。風向きが北東から北西へと70度近く変化し、風による砂の堆積がバルハン砂丘から縦方向砂州に変化した。この気候の変化は、今から約40万年前の火星最終氷期の終了時に発生した。自転軸の傾斜角の変化により、火星の中・低緯度から極地にかけて「氷期-間氷期」という火星全体の気候変動が発生した可能性がある。