2023年07月24日-07月31日
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中国、この10年近くにわたり純炭素排出が減少傾向

2023年07月31日

 中国北京市で26日、「世界人為的炭素排出・陸地生態系炭素収支リモートセンシング評価科学報告」が発表された。同報告は中国科学院空天信息創新研究院が主導して作成。衛星リモートセンシング技術を利用し、世界と主要国の人為的な炭素排出と陸地生態系炭素収支の状況を評価している。科技日報が伝えた。

 報告によると、世界の温室効果ガス排出は効果的なコントロールがされておらず、過去10年間で大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が年平均約0.6%のペースで増加し続けた。新型コロナ流行下でも世界のCO2濃度の上昇傾向に顕著な低下は見られなかった。過去40年間、世界の森林破壊の加速傾向に歯止めがかからず、森林面積が持続的に減少した。世界の土地利用の変化によって年平均約32億トンのCO2を排出し、化石燃料に次ぐ2番目の排出源となっている。

 注目すべきは、中国が大規模な植樹・造林生態プロジェクトを実施していることだ。土地利用の変化がカーボンシンク効果となり、毎年4億トン近くのCO2を固定し、世界の土地利用による炭素排出を効果的に減少させた。衛星による同化・逆推定結果によると、過去10年間で世界の陸地生態系は年平均137億トンのCO2を吸収した。うち中国は13億トンで世界の約1割を占めた。世界の陸地土壌有機炭素貯留量も増加傾向を示し、過去40年間で世界の土壌は毎年約13億トンのCO2を吸収した。中国は大規模な保護的耕作と生態管理措置を実施しており、土壌の炭素固定のペースは世界の約4分の1を占めている。

 中国科学院の呉一戎院士(アカデミー会員)は、「このモニタリング報告は、中国による積極的な省エネ・排出削減措置の成果が顕著に現れ、中国がこの10年間でCO2排出の急増傾向から脱却したことを示している。また、中国が大規模な植樹・造林を行い、農地を森林に戻し、伐採・放牧を禁止して森林を育て、保護的耕作を行うなどの積極的な生態管理措置を実施し、生態系の炭素固定能力を持続的に強化したことも表している。衛星モニタリングでも、中国の純炭素排出が減少傾向を示しており、これは中国のカーボンニュートラル目標の重要な進展を物語っている」と述べた。

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