2023年08月01日-08月04日
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養殖と観光を融合した海洋牧場プラットフォーム「耕海1号」

2023年08月03日

 中国山東省煙台市莱山区の漁人埠頭沖には、海洋牧場複合プラットフォーム「耕海1号」が海上に光り輝く「ネックレス」のように浮かんでいる。片側は花びらの形をしたスマート漁場で、反対側はヒトデの形をした人気観光スポットとなっている。中国新聞網が伝えた。

「耕海1号」の橋の内側は養殖用ケージに囲まれている。山東海洋集団耕海科技の尉岩総経理は「ここは当社の養殖場で、下ではマダイなどの魚を養殖している」と述べた。

 尉氏によると「耕海1号」第1期プラットフォームは直径40メートルの円形サブケージ3つを回転させて組み合わせたもので、これらが3枚の花びらのような形をしている。総敷地面積は5000平方メートル以上、各ケージの養殖体積は1万立方メートルとなる。質の高い海水魚を毎年20万匹養殖でき、年間生産能力は約15万キロを見込む。

 尉氏によると、養殖用ケージから取り除かれたカキやホタテなどの貝類の廃棄物もカキ礁に利用し、海底の豊かな自然環境の修復が可能となる。

 尉氏は「グリーン低炭素を実現するために、養殖用ケージは太陽光・風力発電システムを搭載しており、日照が十分で風力が安定している時であれば、日常的な電力消費の需要をほぼ賄える」と説明した。

 「耕海1号」は現代海洋漁業、海洋工学技術、海洋文化観光という1~3次産業の深く効果的な融合を実現した。観光客は回廊で海釣りやジョギング、日の出と日没の観賞などが体験できる。「ヒトデ」の形をした第2期メインプラットフォームには、レジャー広場、水の楽園などの施設があり、7階建ての屋内空間には、総合サポートエリア、海洋漁業科学教育展示ホール、飲食祝典エリア、宿泊エリアなどが設けられている。

 ゴミの処理についても尉氏は「完全な防汚処理システムがあり、プラットフォームの汚水・汚物を専門的に処理する。処理後のすべての汚水・汚物は汚水処理船により、生態環境主管当局が指定する陸地埠頭に運ばれ、全市汚水管渠に排出することで『ゼロエミッション』が実現される」と明らかにした。

 煙台市には省レベル以上の海洋牧場が46カ所あり、総面積は約9万3000ヘクタールに上る。同市海洋発展・漁業局の張益額副局長は「市は今後、生態優先とイノベーション牽引を引き続き堅持し、海洋牧場の融合発展を重点的に拡大する」と述べた。

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