2023年08月01日-08月04日
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山東省寿光市、野菜産業が強い理由は?

2023年08月04日

 中国山東省寿光市にある野菜小鎮の製品展示エリアでは、温室で育った色とりどりの果物や野菜がカウンターに並べられており、トマトだけで十数種にも上っている。これらの製品には画期的な農業技術がぎっしりと詰まっている。中国新聞網が伝えた。

 寿光市野菜産業発展センターの張林林副主任は設備について「この水・肥料一体化管理設備は、窒素やリン、カリウムなどの微量元素を正確に配合し、水と肥料を節約する」と説明した。

 張氏によると、寿光の各野菜拠点でこの設備が導入されている。温室内の野菜もココピートを使用した水耕栽培によるものだ。野菜の根の成長に適しているだけでなく、病虫害を効果的に減らすことができる。

 これらの画期的な技術を導入できたのは、寿光市がここ数年、デジタル農業を足がかりとして、水・肥料一体化、スマート送風機、モノのインターネット(IoT)など複数のスマート化施設・設備の推進・拡大に取り組み、パーク内でスマート化IoT設備を完全導入したためだ。張氏は「寿光のIoT応用率は現在80%以上に達しており、労働生産性が倍増したことで、農家の所得増を牽引した」と語った。

 寿光蔬菜種業集団副総経理兼研究開発センター主任の程琳氏は「樟小白」と呼ばれるトマトの種が入った袋を見せ、「この袋の種は計1000粒で、1袋700元(1元=約20円)だ。1ケース500袋で計算すると価値は約35万元になる」と説明した。1ケースで高級車1台を買える計算になる。

 種がこれほど高く売れるのは、「野菜の里」の「種子プロジェクト研究開発行動」によるものだ。データによると、寿光市が独自開発し植物新品種権保護を獲得した野菜は178種で、種苗の年間栽培能力は18億本と、省全体の4分の1を占めている。寿光市蔬菜産業控股集団の執行董事で総経理の丁俊洋氏は、「今ではトマト、キュウリ、トウガラシという3品種の国産化を実現している」と述べた。

 程氏は「山東省野菜遺伝資源バンクでは遺伝資源を20万点保存できる。すでにキュウリ、トマト、トウガラシなどの遺伝資源を2万5000点余り保存しており、省内最大の野菜遺伝資源バンクとなっている。これは品種改良や新品種の育成にとって重要な意義がある」と述べた。

 寿光市では今後、国家級野菜種子業イノベーション拠点の建設をめぐり、重点種子リーディングカンパニーの育成を中心として、産業の主導により、企業を主体とし、産学研(産業、大学、研究機関)を融合した、育成・繁殖・推進一体化の野菜種子産業メカニズムを構築する。2025年に独自開発の野菜品種を300種以上に、ブレイクスルー的品種を10種以上にし、全国の野菜種子業の新たな先進地とする。

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