2023年08月28日-08月31日
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中国の科学研究チーム、イネの完全なリファレンスゲノムを発表

2023年08月28日

 イネは重要な穀物であり、そのゲノムアセンブリは育種にとって大切な意義がある。中国農業科学院深圳農業ゲノム研究所は、海南省崖州湾実験室や中国水稲研究所、中国農業科学院作物科学研究所、揚州大学などの複数機関と共同で、イネの完全なリファレンスゲノムを発表した。全ゲノム全染色体のテロメアからテロメアへのギャップフリーなアセンブリを実現し、イネの育種研究に新たな有力ツールと重要なビッグデータの基盤を提供した。関連研究成果はこのほど学術誌「分子植物」(Molecular Plant)に掲載された。科技日報が伝えた。

 イネの栽培品種「日本晴」のドラフトゲノムが2005年に発表され、イネの研究はゲノミクスの時代に入った。

 その後、「日本晴」リファレンスゲノムは2013年にさらに更新され、ゲノムアセンブリの結果とゲノムアノテーションが大幅に改善され、イネの標準的なリファレンスゲノムとなり、現在まで使用されている。しかし、当時のシーケンシングやアセンブリ技術の制限により、同ゲノムは複雑な構造エリアのアセンブリで約3%のギャップが存在し、これらのギャップはイネの育種研究において妨げとなっていた。

 論文の責任著者で、中国農業科学院深圳農業ゲノム研究所の商連光研究員によると、研究チームは「日本晴」を材料とし、新世代シーケンシング技術を総合的に利用して「日本晴」リファレンスゲノムの完全なアセンブリを行った。そのサイズは385.7百万塩基対で、すべての染色体のテロメアからテロメアまでが1本の完全で連続的な配列によって組み立てられ、塩基の精度は99.9999%以上となった。最新のアセンブリにより追加された12.5百万塩基対のゲノム配列は、主にイネゲノムの構造が最も複雑なリボソームDNA配列、セントロメア部位、複合トランスポゾン配列、テロメア部位などのロックを解除し、ギャップによる複数の遺伝構造ミスを修正し、1324のタンパク質コーディングゲノムアノテーションを追加した。今回の研究により、イネ育種研究の重要な理論的基盤が固まった。

(資料写真)

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