2023年08月28日-08月31日
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電力網の負荷を軽減する深圳市の「仮想発電所」

2023年08月31日

 電力消費がピークを迎え、中国各地で電力負荷が過去最大を頻繁に更新している。広東省深圳市は中国で初めて仮想発電所(VPP)管理センターを設立した都市として、電力網調整のリアルタイムインタラクションの壁を取り払うことで、リソース接続や運営監視などを行い、電力利用の信頼性と安定性をさらに高めている。経済日報が伝えた。

 深圳仮想発電所管理センターの技術専門家である李江南氏は「VPPはエネルギーインターネット技術により末端ユーザーに分散している充電ポールやエアコン、分散型太陽光発電などの電力負荷資源を統合し、最適化制御を行う『インターネット+電源・電力網・負荷・エネルギー貯蔵』一体化デジタルエネルギー管理システムだ。VPPは電力供給が逼迫する時間帯に、分散している大量の電力負荷資源を直接調節することで電力消費出力を落とすもので、特定の時間帯における負荷の調節を行い、電力網の安全で安定した運営を保証する」と説明した。

 李氏はまた「VPPの大きな優位性の一つは、土地資源を使わず、新たに送電線を設置することもなく、省エネ・排出削減と新エネルギー利用を促し、社会全体のエネルギーシステムの投資・建設コストを引き下げられることにある」と紹介。「200メガワット(MW)のVPPを設置した場合、1年で標準炭消費量を4万700トン、二酸化炭素排出量を10万8000トン、二酸化硫黄の排出量を3261トン減らすことができる」と強調した。

 深圳市発展・改革委員会はVPPの建設を推進するため、2022年6月に「深圳市VPP設置活動案(2022~25)」を打ち出し、高基準のVPP発展に焦点を当てた。同市は23年にはVPPの発展加速を支援するいくつかの措置を発表。VPP正確反応起動条件や組織プロセス、反応価格などの内容を制定、規範化し、市内のVPPの運転と大規模発展に対する全面的な指導を行っている。

 深圳市では25年までに100万キロワット(kW)級の調節能力を持つVPPを完成させる計画で、年間最大約5%の負荷安定調節能力を形成し、大規模ユーザー資源のシステム調節への自発的な参加を促し、温室効果ガスの排出を毎年約54万トン削減し、新型エネルギー体制の建設とグリーンで低炭素の産業発展を力強くサポートする。

 
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