中国河北省の張北草原では、白い風力発電機が風を受け回転し、ソーラーパネルがずらりと並んでいた。この張家口再生可能エネルギーモデルエリアにある張北柔軟性直流電力網試験モデルプロジェクトにより、年間140億キロワット時(kWh)のグリーン電力が北京市の各世帯に迅速かつ安定的に送電され、首都に明かりを灯している。経済参考報が伝えた。
同エリアであり、中国で唯一の国家級再生可能エネルギーモデルエリアである。国網冀北超高圧公司±500キロボルト(kV)中都変電所の担当者である楊傑氏は「張北柔軟性直流プロジェクトは450万キロワット(kW)の再生可能エネルギー収集能力を持ち、風力、太陽光、揚水発電など複数のエネルギーを大規模輸送する世界初の柔軟性直流電力網だ」と説明した。
グリーン電力を安定的に送電するためには「充電バッテリー」と称えられる揚水発電所がなくてはならない。風力発電と太陽光発電は変動性が高いが、揚水発電にはピーク調整、ピークシフト、周波数調整、パルス幅変調、エネルギー貯蔵、事故バックアップ、ブラックスタートなど複数の機能がある。大型電力網の安全稼働の安定装置および調節装置の役割を担っている。
張北から東に200キロ進むと、中国が独自に設計・建設した国網新源河北豊寧揚水発電所があり、張北柔軟性直流電力網と華北電力網に接続している。
国網新源河北豊寧揚水発電有限公司の呉培枝副総経理は、「電力網の電力が余ると、電力駆動ユニットが逆回転して水を汲み上げる。電力網の電力消費がピークを迎えると、高所から水が流れて発電機が回転し、発電を行う。すべての発電機が水の汲み上げと発電の機能を合わせ持つ。発電機は停止状態から3分半以内でフル稼働発電に切り替えられる」と述べた。
国家風力・太陽光貯蔵・送電試験モデルプロジェクト発電所制御センターは、風力・太陽光・貯蔵・送電総合発電システム全体の統一的な調整を行う。国網冀北張家口風力・太陽光・貯蔵・送電新エネルギー有限公司党委員会党建部副主任の梁立新氏は「こちらのモデルにより、新エネルギー発電出力の10分間の平均変動率が30%から5%に低下した。また、マルチスケール、全天候型、高精度の風力・太陽光共同出力予測システムを研究開発し、風力・太陽光共同出力予測の誤差を10%以下に抑えた。同プロジェクトの稼働は、新エネルギーの大規模集中開発における制御と調節が困難という難題の解決に向け、中国の知恵を伝えている」と語った。