2023年09月25日-09月29日
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「文化財の指紋」採取技術で、国宝を正確に識別

2023年09月25日

 デジタル化技術により、文化財に存在する唯一無二の細かな痕跡と特徴を見つけ、国宝を正確に追跡・識別する......。中国浙江省杭州市臨平博物館(中国江南水郷文化博物館)が研究開発したアプリケーション「文化財指紋」は、文化財の貸出・交流における懸念を効果的に解決する。光明日報が伝えた。

 文化財の収蔵品が増えるとともに、流通・貸出の需要も増加している。これにより、文化財の情報管理、出入庫、貸出、在庫点検などの管理フローにおけるリスクが発生しやすくなり、そのリスクは発見が困難で、遡ることが難しく、紛失対象の調査も困難を極める。さらに、現在は偽造品の製造レベルも上がっており、経験に基づく検査・識別だけでは本物が偽物にすり替えられるリスクを解消できない。

 「文化財指紋」は、画像指紋採取技術や指紋類似度計算方法、ビッグデータ技術、暗号学、ポイント・ツー・ポイントネットワークなどの技術を用い、サービス側と管理側を含む統一プラットフォームを構築した。文化財指紋システム、収蔵品基礎データ管理システム、文化財流通トレーサビリティシステム、文化財ブレーン、画像サービスプラットフォーム、ブロックチェーン基礎サービスプラットフォームを含んでおり、文化財の細かな痕跡を照合する博物館収蔵品管理アプリとなっている。

 文化財の「指紋」はどのようにして得られるのだろうか。臨平博物館には顕微鏡に似た装置がある。これは文化財の表面を数百倍に拡大するとともに、自動的にピントを変更して撮影する。これにより、文化財に触れることなく、その細部の特徴を集めることができる。

 同博物館の于秋娜副館長は「通常は文化財の細部2~3カ所を採取する。倍率の異なる写真を10枚以上撮影し、システムにより各写真の特徴を捉え、指紋モデルを生成する」と説明。「文化財を装置に向けるだけで、システムが自動的に照合を行う。先に採取した指紋モデルの特徴と一致すれば、それが同一の文化財であると判断できる。ブロックチェーン技術を利用しているため、採取した特徴や指紋モデルが改ざんされることはなく、文化財の安全性をさらに保障できる」と述べた。

 同博物館は2022年11月から現在まで文化財1193点(セット)の「指紋」採取を行っており、1万8213点の「指紋」を採取した。文化財の種類は書画や玉器が中心で、石器、陶磁器、金銀器、銅器などもカバーしている。

 
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