2023年10月10日-10月13日
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塩・アルカリ耐性大豆の新品種、生産量測定を実施

2023年10月13日

 中国科学院遺伝・発育生物学研究所によると、塩・アルカリ耐性大豆の新品種「科豆35」の実際の収穫と生産量測定が山東省東営市で行われた。生産量測定専門家チームがモデル農地2カ所の収穫と生産量測定を実施。重量測定や水分検査などの測定を経て、次のように結論付けた。1番農地の実際の収穫面積は13.99ムー(1ムーは約6.7アール)で、1ムー当たりの生産量は277.39キロだった。2番農地の収穫面積は3.43ムーで、1ムー当たりの生産量は306.52キロだった。科技日報が伝えた。

 専門家チームは「『科豆35』は塩耐性と高生産量という特徴を持ち、塩・アルカリ耐性大豆の品種育成による塩類アルカリ土壌総合利用の重要かつ画期的な成果となっており、環渤海の塩類アルカリ土壌での実証実験の拡大と審査・推進の拡大を提案する」と結論付けた。

 中国の大豆輸入量はここ数年、9000万トン以上で推移し、輸入への依存度が85%に達している。同研究所の田志喜氏は「大豆の栽培面積拡大は、中国の大豆生産量を向上させる効果的な手段だ。しかし既存の耕地で、主要食糧作物の栽培を減らして大豆の栽培面積を増やすのは、人が多く土地が少ないという中国の国情に合わない」と指摘した。

 田氏はさらに「18億ムーの他にも中国には11億7000万ムーの限界耕作地があり、これには5億ムー前後の塩類アルカリ土壌が含まれる。農業利用の見通しのある塩類アルカリ土壌の総面積は1億8500万ムーに達する。これらの塩類アルカリ土壌の効果的な開発と利用は、中国の大豆の生産能力を高める重要な方向性だ」と述べた。

 塩耐性大豆の新品種を育成するため、田氏の研究チームは2017年より山東省東営市の黄河河口の典型的塩類アルカリ土壌で、自然の雨を使った実証栽培を行い、高強度塩耐性スクリーニングとプロット試験を実施してきた。

 田氏は「1万6000点以上の大豆遺伝資源材料の中から70数点の塩耐性新遺伝資源を選び、特に優れている25点を基礎として『科豆35』を生み出した。この成果は中国の大豆自給率の向上、中国の塩類アルカリ土地資源の有効活用の加速に力強い科学技術のサポートを提供している。これは中国の食糧安全保障と農業の持続可能な開発に対して重要な意義がある」と述べた。

 
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