2023年10月16日-10月20日
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中国初の水素燃料電池動力モデル船が初航行

2023年10月16日

 中国初の水素燃料電池動力モデル船「三峡氫舟1号」が11日、湖北省宜昌市の三峡遊客センター(第9埠頭)で初航行を完了した。水素燃料電池技術の内陸河川船舶への応用で進展を遂げたことを示している。人民網が伝えた。

 同船は従来の燃料動力船と比較し、石油燃料の消費を年間103.16トン、二酸化炭素の排出量を343.67トンそれぞれ削減できる。内陸河川の航行におけるグリーン低炭素発展に対するモデル的意義がある。

 同船は鋼・アルミ複合構造で、全長は49.9メートル、型幅は10.4メートル、型深さは3.2メートル。乗客は定員80人で、主に水素燃料電池動力システムを採用している。水素燃料電池の定格出力は500キロワット(kW)、最高航行速度は時速28キロ、巡航速度は時速20キロ、航続距離は200キロとなっている。引き渡し後は三峡ダムエリアや三峡葛洲壩間の交通、巡回、緊急対応などで使われる。

 このほど発表された「水素燃料産業発展中長期計画(2021~35年)」は、「交通分野のモデル応用を秩序正しく推進する。燃料電池の船舶や航空機などの分野における応用を積極的に模索し、大型水素エネルギー航空機の研究開発を推進し、交通分野の水素エネルギー応用の市場規模を持続的に向上させる」としている。

 三峡プロジェクト下流の楊家湾埠頭にある「中国三峡グリーン電力・グリーン水素モデルステーション」が同船のエネルギー補給ステーションになる。同ステーションは中国初の内陸河川埠頭型水素製造・充填一体型ステーションで、三峡発電所のクリーン電力を利用して水電解で水素を製造する。水素は圧縮、貯蔵、充填などを経て水素エネルギー船舶に直接供給される。

 
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