中国広東省広州市で暮らす「90後(1990年代生まれ)」の会社員である王偉さんは、モバイル決済アプリの明細書を見て、普段の支払いの大半をモバイル決済で行っていたことに気づいた。
2次元バーコードをスキャンしてシェアサイクルに乗る、映画のチケットを買う、ショッピングセンターで買い物をする、家のガス・電気料金を支払う......。王さんは「今では支払いの際に財布を出さず、習慣的にスマホを出してスキャンしている。前はみんなで食事をした時に割り勘すると、小銭が足りなくて困ったりしていたが、今は微信(WeChat)のグループ決済の画面を開くだけで精算できるようになった」と語った。
こうしたインターネット決済は若者の専売特許ではなく、中高年も積極的に利用している。北京市朝陽区で朝食店を経営する張さんは「今ではみんなが微信や支付宝(アリペイ)で支払っている」と話し、入り口に貼られた2次元バーコードのシールを指さした。
北京市通州区の農産物市場で野菜の屋台を出している陳さんは「若い人が野菜を買う時はみんなコードを利用しているので、自分も少しずつやり方を覚えた。おつりを用意する必要もないし、スピーディですごく便利だ」と語った。
中国インターネット情報センター(CNNIC)がこのほど発表した第52回中国インターネット発展状況統計報告によると、今年6月末時点で、中国のインターネット決済利用者は9億4300万人に達し、2022年12月より3176万人増え、ネットユーザー全体の87.5%を占めた。
スマホを開いてコードを読み取れば、「ピッ」という音がして決済が終わる。これは中国の人々が日常生活で慣れ親しんだ操作だ。さらに、さまざまな無人販売機や無人スーパーが次々に登場して、モバイル決済の利用シーンがますます豊富になっている。
今では卸売・小売、飲食・文化消費・旅行、医療・教育、公的サービスなどの分野で、デジタル人民元が消費を促進し、内需を拡大する上で重要な役割を果たしている。
北京市東城区に住む呉さん(女性)は「医療保険料の支払いも支付宝でできる。最近、病院で薬を処方してもらった時、支払窓口に行くとたくさん人が並んでいたので、病院の看護師が自動支払機を使えばいいと教えてくれた。顔認証システムで認証してからコードを読み取るだけで支払いが完了した。自分の医療保険と紐付いた口座から直接支払われるので、とても簡単だ」と話した。
深圳市で働く呉さん(男性)は内モンゴル自治区に実家がある。「今は微信のミニプログラムで社会保険料を納められるようになったので、以前のようにわざわざ内モンゴルまで戻らなくてよくなった。都市・農村部住民用医療保健の納入通知を受け取ったら、スマホで『社会保険料納付』のミニプログラムの画面をタップするだけで、自治区の外にいても支払いがすぐに完了する」と述べた。
各地の公的サービス機関が微信や支付宝などのモバイル決済アプリを利用して「窓口」を開設し、人々が出向かなくても、料金を支払ったり、サービスを受けられるようになった。モバイル決済プラットフォームが各省(自治区・直轄市)のデジタル政府建設に積極的に協力して「デジタル市民センター」を開設しており、各地政府機関と提携して住宅積立金や医療、環境保護、税金、民政、教育、交通・旅行など複数のサービスを提供している。