中国の有人宇宙船「神舟16号」の乗組員が、専門的な宇宙栽培装置を使って、宇宙ステーションでレタスや小麦などの新鮮な食材を栽培した。光明日報が伝えた。
今年初め、神舟14号の乗組員は地球に帰還後、宇宙における野菜栽培の難しさについて2点語った。1つ目は、無重力環境では水が根系に浸透しにくいこと、2つ目は、船内に直射日光がなく日照を好む植物が成長しにくいことだ。現在は、中国電子科技集団公司(中国電科)第48研究所が宇宙栽培装置向けに開発した専門的な制御モジュールにより、宇宙の野菜も「日光浴」と「栄養補給」を受けられるようになった。
照明パネルは植物の成長における太陽のようなものだ。中国電科の呉迪上級エンジニアは「植物は光合成中にレッドライトとブルーライトの吸収率が高くなる。われわれは意図的に照明パネル装置内に大量のレッド・ブルーライト光源を設置し、植物の光合成の効率を大幅に高めた」と説明した。
宇宙ステーション内では酸素だけでなく、二酸化炭素(CO2)も足りない。植物が持続的に培養ケース内のCO2を利用して光合成を行うため、CO2の濃度が低いと光合成の効率も大幅に下がる。では、一体どうすべきか。
呉氏によると、スマート扇風機のような送風機を使うという。「われわれはその電源をオンにするタイマーを設定し、培養ケース内の空気の流動を加速させ、光合成によって生じた酸素を速やかに外に出すことで、CO2の濃度を適切な範囲内に保っている」。
野菜を育てるためには日照と空気だけでなく、定期的な施肥も必要だ。小型自吸式循環ポンプが「栄養士」になる。
呉氏は「小型自吸式循環ポンプは給水パイプと結びつき、植物の成長に必要な養分と水分を定時的にすべての植物の根系の指定部位に届けることができる。これは日常的な栽培における人による施肥に似ており、宇宙野菜の微量元素の吸収力を大幅に高めることができる」と語った。