2023年11月06日-11月10日
トップ  > 科学技術ニュース>  2023年11月06日-11月10日 >  中国の「低空経済」は飛躍できるか?

中国の「低空経済」は飛躍できるか?

2023年11月07日

 中国工程院の樊邦奎院士(アカデミー会員)はこのほど、安徽省蕪湖市で行われた2023低空経済発展大会で「空が今より混み合う日が、これから確実にやって来る」と発言した。この一言が「低空経済」という新しい業態に対する人々の関心をより一層高めることとなった。

 低空経済とは、各種の有人航空機や無人航空機による各種低空域飛行活動を中心として、関連分野に波及し、それを牽引し、融合発展した総合的な経済形態を指す。ドローンによる宅配便配達、小型航空機の運航、飛行ロボットなどは、どれも低空経済に対応した応用シーンとなる。

 蕪湖航空産業パークは、標準化された工場施設が非常に巧みに配置されている。同パークに入居する中電科蕪湖鑽石飛機製造有限公司では、作業員が忙しそうに働き、引き渡しを待つ航空機が数機あった。

 中国で初めて2つの認証を取得した航空機メーカーとして、中国電子科技集団公司と蕪湖市が共同で投資設立した同社は、同市が低空経済の発展を独自に推進していることの一つの縮図といえる。

 同市は一般航空開発製造産業チェーンの発展にも力を入れ、中国最大の航空装備保障企業の安徽天航科創発展(集団)股份有限公司をはじめとするユニコーン企業12社を相次いで誘致している。

 同パークには現在、航空材料、航空電子、飛行制御システム、電子部品など川上から川下に至る関連産業が集積。航空機の完成機、衛星、ドローン、エンジンから、総合メンテナンス、運営保障まで、産業チェーン全体にわたる200項目近くがカバーされ、「パークを出なくても、一般航空の国産航空機を生産できる」ことを実現している。

 低空経済の発展も多くの新興産業と同じく、「成長の悩み」に直面している。

 中国工程院および国際宇航科学院の王沙飛院士は、「ドローンが登場してから、空の管理コントロールは大きなニーズと重大な挑戦に直面するようになった。突出しているのは低空・大容量・動的な飛行空域管理の問題だ」と分析した。

 王氏はまた「低空移動通信ネットワークが徐々にカバー範囲を広げ、リアルタイム・ナビゲーションシステムの計算が高度化するのにともない、多くの問題はスムーズに解決されるはずだ。今後は、都市のガバナンス、物流配送、低空域の通行、航空体験などの各方面で、ドローンが大量に使用されるようになる」との見方を示した。

 
※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます