「クマのぬいぐるみが高度約3万メートルを飛ぶ」という動画が最近、中国のネットで話題を集めた。動画を見ると、クマのぬいぐるみは遼寧省阜新市と内モンゴル自治区通遼市の境界で重量測定や温度検査、設備調整などの事前準備を行い、気球と一緒に離陸。雲海を貫いて高度2万8000メートルの上空に達し、地上に帰還した。クマのぬいぐるみが青い地球をバックに「空を飛ぶ」シーンもバッチリ撮影されていた。人民日報が伝えた。
今回の飛行試験を行ったのは、寧波ノッティンガム大学理工学院材料成形・制御工学専攻の大学4年生、李正漢さんと彼のプロジェクトチームだ。李さんは「クマのぬいぐるみが到達した高度は宇宙ではなく成層圏で、実験はすべての規定や制度を守った」と説明した。
幼い頃から空と宇宙に憧れていた李さんは、高校生の時にパイロット航空身体検査の最後の関門を通過できず、空軍パイロットになれなかったが、それでも空の風景を見たいと思っていたという。大学での4年間の勉強を経て、機械工学分野の知識やプログラミング技術、モデリング技能、電気回路知識が身に付き、チームの仲間と卒業前にこの実験をして青春の思い出にしようと決意した。
李さんは「当初は寧波で実施しようと思ったが、浙江省は山間部と丘陵地帯が多く、実験にあまり適していなかった」と語った。地形や気候などの客観的な要素を総合的に考慮し、関係部門から航空管制に違反しないという通知を受け、李さんは故郷の東北部で実験を行うことにした。
チームは見取り図や電線装置を作り、模型を3Dプリントし、実験と温度調節を繰り返し、今回の飛行に全身全霊を傾けた。晴れ渡った実験当日、クマのぬいぐるみは1時間半かけて浮上し、高度2万8000メートルに到達。青い地球をバックにした美しい写真を撮影し、26分後に地上に戻った。