2023年11月13日-11月17日
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中国人科学者がES細胞を使った「キメラ」サルを誕生させる

2023年11月14日

 中国人科学者がこのほど、世界で初めて、高比率胚性幹(ES)細胞由来の「キメラ」サルを誕生させ、生存させることに成功した。これは霊長類のES細胞の多能性に対する理解や、人間以外の霊長類モデルの構築に対して重要な意義を持つ。研究成果は9日、国際的学術誌「セル」に巻頭記事として掲載された。中央テレビニュースが伝えた。

 ES細胞は着床前の胚盤胞に存在する内部細胞塊の体外分離・培養によって得られる多能性細胞で、モデル動物の構築、細胞治療、器官再生などで力を発揮する。胚性幹細胞には体外無限自己複製と更新、多方向分化の誘導と実現、胚注入によるキメラの形成といった重要な特徴がある。中でもキメラは胚性幹細胞の多方向分化の潜在力を評価する基準として認識されている。

 中国科学院脳科学・スマート技術卓越イノベーションセンターと広州バイオ医薬・健康研究院などの科学研究チームが協力し、キメラ胚の培養条件の最適化と改良により、ES細胞の胚注入後の生存率を大幅に向上させた。高比率ES細胞由来のキメラサルが誕生し、生存したことは、注入したサルのES細胞が胎盤や生殖細胞を含む各種組織や細胞に効率的に貢献できることを証明した。今回の研究は、霊長類ES細胞の多能性や発育の潜在力の理解に対して重要な意義を持ち、サルのES細胞キメラに基づく遺伝子ターゲティングやモデル構築技術の基盤を固めるものとなった。

 
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