2023年11月20日-11月24日
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遼寧省の養蚕業でドローンを活用 効率が約7倍に

2023年11月22日

 中国遼寧省農業科学院蚕業科学研究所は、国家蚕桑産業技術体系柞蚕(サクサン)飼育技術職務科学者プロジェクトの支援を受け、カイコ移動用ドローンや効率的な糸繰り機、柞蚕の卵の洗浄選別機などの柞蚕生産機械システムの開発に成功した。成果は世界の同分野でトップレベルにあると評価されている。「科技日報」が伝えた。

 繭(まゆ)の糸繰りとカイコの移動は養蚕における重要プロセスであり、強度の高い労働プロセスでもある。ここ数年は若い労働者が不足し、農家の中にはこうした高い労働強度の作業を行うことができず、収入が増える仕事だと理解しながらも、この仕事を諦める人も出ており、こうしたことが同省の養蚕産業の発展を大きく制約していた。同プロジェクトの科学者で同研究所副所長である李喜昇氏は「カイコの放し飼いの際に、養蚕農家はカイコが入った重さ25キロ以上のかごを背負って繁殖地の山を頻繁に登り下りしていた。繭の糸繰りや柞蚕の飼育樹の輪作なども多くの人手と物資が必要だが、農村は高齢化と人手不足の問題に直面している。産業の規模が小さくないにもかかわらず、従来の作業方法が踏襲されていた」と説明した。

 産業の発展における問題点に直面し、同研究所は瀋陽金豊春航空科技有限公司などの企業・機関とともに、2016年からドローンによるカイコの引っ越しなど、軽量・簡易・高効率の柞蚕生産機械システムの開発・製造を進めてきた。同研究所が開発したシステムのうち、ドローンによるカイコの移動輸送装置は作業効率が人による移動の約7倍となった。李氏は「ドローン本体と物を積載するユニットが有機的に結びついたことで、養蚕農家は山を登り下りする必要がなくなり、ドローンが農家に代わって『山を駆け巡りカイコを移動させる』ことに成功した」と語った。

 これまで1回につき数十分から数時間かかっていたカイコの移動が、ドローンにより、わずか数分でできるようになった。直線距離260メートルの移動テストを行ったところ、1回の輸送にかかる時間は4.6分で、1時間にカイコ約300キロを移動させることができ、人による輸送と比べて効率が6.68倍になった。

 
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