中国上海市郊外にある上海福貝寵物用品のペットフード生産工場では、オレンジ色のロボットアームが、ベルトコンベアで運ばれてきたペットフードの箱を次々と自動で積み上げていた。この工場はほぼ機械中心で回っており、少数の従業員は生産ラインの調整だけを行っている。
同社の工場責任者、蔡京定さんは「われわれの工場は2018年の設計当初から自動化の方向性に照準を当てていたが、その後自動化だけでは不十分なことがわかり、スマート化に取り組むことになった。ここには1000台に上る設備があり、ネットワークに対する要求が相対的に高いので、5Gを導入している」と説明した。
ペットフードの生産には、原材料の調達、製造・加工、パッケージ・ストック、在庫発送の4プロセスがある。同社向けに上海移動通信が5G全接続工場総合案を制定し、5G、人工知能(AI)、クラウドコンピューティングなどの通信技術を導入し、生産の各機能モジュールのデジタル高度化を推進している。
5G全接続工場はAIなどの技術を5Gと結びつけたスマート工場で、5Gの特徴である低遅延、広帯域、多数同時接続を体現するものだ。5G全接続の環境下で、機械・設備の間で5G通信による「コミュニケーション」が行われ、スマート自動化生産が実現している。
ペット経済の過熱に伴い、さらに多くの飼い主がペットフードを厳選するようになっていることも、ペットフード生産の高度化をもたらした。
中国移動上海公司松江分公司の顧秋峰副総経理は「このペットフード生産ラインは相対的標準化が進んでおり、スマート高度化を行う際に複雑な変更をする必要がない。5G導入で生産の柔軟性が高まり調整の幅が広がった」と語った。