2023年12月01日-12月08日
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各地で環境に配慮した暖房供給方法の模索続く

2023年12月07日

 寒波の影響を受け、中国の複数地域で気温が大幅に下がり、北方地域では全面的に暖房シーズンに突入した。政策誘導の下、複数のエネルギー企業が暖房供給に関する模索を行っている。これにより、原子力や地熱エネルギー、風力発電、太陽光発電など、クリーンな暖房供給方法が一般家庭に普及している。

 原子力による暖房供給が新たな進展を遂げた。中国初の地級市間の原子力暖房供給プロジェクトである国家電投「暖核1号」3期原子力暖房供給プロジェクトが11月25日、稼働した。山東省海陽市に暖房を供給するとともに、乳山市にも供給し、ゼロカーボン熱源の相互接続と共有を実現した。同プロジェクトは乳山市中心部の630万平方メートルをカバーし、原子炉1基当たりの最大住民暖房供給面積の記録を再度更新した。標準炭換算で23万トンの代替効果があり、二酸化炭素(CO2)排出量を42万トン削減すると見込まれている。暖核1号の今シーズンの暖房供給面積は合計1250万平方メートルに達し、海陽市と乳山市の約40万人の需要を満たす。

 地熱暖房供給も人気が高まっている。今シーズンの中国石油化工集団の地熱暖房供給能力は前年同期比15%増の9500万平方メートル以上で、北京市や天津市、陝西省、河北省、河南省、山東省、山西省など11省・直轄市の100万世帯以上の住民にサービスを提供できる。年間CO2排出削減量は約470万トンとなる。

 中国石油天然気集団(中国石油)の地熱暖房供給プロジェクトは北京市のほか、河北省や河南省、山東省、山西省などの10以上の省に広がっている。今年新たに11件の地熱プロジェクトが全国への冬季暖房供給を承認された。中国石油はこれまでに地熱暖房供給市場面積を新たに4000万平方メートル以上拡大し、累計3000万平方メートル以上の地熱暖房供給面積を完成させ稼働しているが、年内にさらに20件の地熱暖房供給プロジェクトを稼働させる計画がある。

 風力発電と太陽光発電による暖房供給がより多くの家庭に普及している。内モンゴル自治区ジャルート(扎魯特)旗で暮らす劉暁斌さんは、「山風にさらされてきた土地で、暖房が利くようになったとは思わなかった。平均室温は24.5度に達する」と喜びつつ語った。国家電投内モンゴル公司ジャルート旗暖房供給ステーションがジャルート風力発電所の熱を1万2000世帯に送り続けることで暖房供給が実現している。河北省平泉市小寺溝鎮では、国家電投による「分散型太陽光発電+電気暖房」エネルギー使用モデルを用いている。村民は家庭内に電気暖房設備を置き、屋根にはソーラーパネルを設置している。誕生した電力は村民の暖房に優先的に供給され、余剰電力は電力網に送られる。同プロジェクトは毎年約900万キロワット時(kWh)のグリーン電力を生み、同鎮の村民1656世帯に99万元(1元=約21円)以上のクリーン暖房補助金収入をもたらしている。

 
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