2023年12月11日-12月15日
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浙江大の研究者ら、長時間型インスリン製剤を開発

2023年12月13日

 中国の浙江大学は7日、同大学薬学院と金華研究院の顧臻教授と王金強研究員のチームが長時間作用型インスリン製剤を開発したと明らかにした。この製剤は血糖値の変動を感知し、インスリン分泌量を動的に調節することで、血糖値を長時間にわたりコントロールできる。関連成果は6日、「Nature Biomedical Engineering」に掲載された。中国新聞網が伝えた。

 論文の責任著者である顧氏は「われわれは臨床試験の申請を進めている。将来的にはインスリンを1度打つだけで1週間、あるいはそれ以上にわたり、血糖値の安全で安定したコントロールが実現するかもしれない」と述べた。

 インスリン注射は1型糖尿病患者の日常生活に不可欠な治療法だ。しかしこれは、患者の日常生活に大きな負担をもたらすほか、インスリンの過度な使用により低血糖を招くリスクもあるため、インスリンの分泌量を正確にコントロールできる製剤を開発し、1度の注射で長時間の有効性を実現することが求められている。

 人体のβ細胞はブドウ糖の濃度を感知でき、インスリンの分泌量をコントロールすることで、体内のブドウ糖の代謝速度を調整する。しかし糖尿病患者はβ細胞を失っていたり、インスリンの働きに対して敏感ではないことがあるため、正常な血糖値を維持することが難しい。

 研究チームが開発した新型複合物はグルコン酸修飾組換えヒトインスリンとフェニルボロン酸修飾ポリリジンの緊密な結合により作られる。顧氏は「この新型複合物を皮下注射すると、インスリンの『貯蔵庫』のような機能を持ち、皮下にインスリンを長時間的に貯蔵させるとともに、血糖値が上がった時に速やかに分泌させる」と説明した。

 この新型複合物は従来のインスリン製剤の「漏れやすく、長期にわたり治療しづらい」という困難を一変させる。正常な血糖値の条件下では、少量のインスリンをゆっくり放出することができ、基本的な血糖値の安定を維持する。一方、血中のブドウ糖濃度が上がると、ブドウ糖は競争するようにして複合物の「吸盤」と結びつき、インスリンを急速に放出し、血糖値を正常な範囲に戻す。

 王氏は「これまでの実験では、体重30キロの1型糖尿病モデルブタに対し、1回の投薬で正常な血糖値を1週間以上保つことができ、低血糖症状も出なかった」と述べた。

 米国糖尿病学会の医学・科学責任者を務めた論文協力者のJohn Buse氏は「人々は何十年にもわたり、インスリンをより便利で安全に使用する方法を模索してきたが、この新型インスリンは感動的で重要なブレイクスルーになる」と評価した。

皮下注射された長時間作用型インスリン製剤が、血糖値が上昇した際に迅速にインスリンを放出し、血糖値を安定させることを示した図。

浙江大学
 
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