人工知能(AI)・デジタル経済広東省実験室(広州)の若手学者で、中山大学教授の黄凱氏の研究チームはこのほど、独ミュンヘン工科大学の研究者と高度な生物模倣ネズミ型ロボット「NeRmo」を開発した。研究成果は「Science Robotics」に掲載された。中国科学報が伝えた。
同ロボットの重要なイノベーションは、フレキシブルな脊椎の水平スイング設計により、ロボットの運動の柔軟性と効率が大幅に向上したことだ。
現代の四足歩行ロボットは、足によって高度な動態と柔軟な移動を実現しているが、その運動方法では依然として動作がぎこちない。そのため柔軟な脊椎の設計をロボットの構造に融合することは、ロボットの敏捷性の向上、特に小型や駆動なしといった、体積に制限があり動力が不足する四足歩行ロボットにとって極めて重要だった。
NeRmoは生物模倣ネズミ型ロボットとして、ネズミの四足歩行における筋肉と骨格の効率的な動きを巧みに模倣している。その注目点は柔軟で弾力性のある脊椎だ。これによって体重を支えられるだけでなく、柔軟に伸ばし、曲げることもでき、脊椎の機能をリアルに再現した。
黄氏は「研究は柔軟な脊椎の動物の運動能力における重要性、とりわけ敏捷性の向上における顕著な役割を明らかにした。研究成果は脊椎を持つ歩行ロボットの設計分野の発展を推進するとともに、運動制御関連研究に新しい視点をもたらしている」と説明した。

複雑な迷路をスムーズに走行する柔軟な脊髄を持つネズミ型ロボット。実験結果によると、迷路を走り終えるのにかかる時間が30.6%減少した。