「傘」にもいろんなアイデア商品があることを知っているだろうか? 例えば、夜道の安全にぴったりな車のライトを反射してくれるメタリック傘や、傘から垂れたビニールが全身をすっぽり覆い、絶対に濡れたくない時に使える全身傘などだ。
これらユニークなアイデア傘を作っているのは中国河南省で暮らす雷鵬琳さん(38)。若い時に雨傘工場で働いていた雷さんは、工場でほぼすべてのポストを経験し、どんな傘を見ても、それがどうやって作られたか、値段はどれくらいかを判断することができるという。傘の輸出が最も盛んだった2014年、雷さんは思い悩んだ末、浙江省紹興市に自分の工場を作った。
創業当初、雷さんの工場には1日数千件の受注があった。だが同業者が増え、同質化や競争激化に伴い、売上が大きく減少した。頭を抱えていた雷さんだったが、やがて新たなビジネスチャンスを思いついたという。
「消費者は個性を追求している。傘は日光を遮断したり、雨に濡れないようにするだけでなく、ファッションの一部でもある」。そう語る雷さんは、ユニークで革新的な傘が人気になっていることに気づき、商品にちょっとした工夫を加えるようになった。そして、2022年に生産したライト付きの傘が大ヒット商品となった。
インターネットのコメント欄を見ると、多くのネットユーザーが「ほしい」との声を寄せていた。また、ユニークな提案もたくさん寄せられており、そのアイデアに基づき、雷さんは光を反射するメタリック傘を製作した。発売するとすぐに7万本以上が売れた。それから雷さんは、コメント欄を自社の「設計部門」と見なすようになった。ネットユーザーもまた、雷さんに対して「願いを叶えてくれる人」と思うようになり、コメント欄に自分がほしい傘のアイデアが寄せられるようになった。
ネットユーザーから寄せられたコメントをヒントに、雷さんは夏に使う扇風機付きの傘も作った。また、水に濡れると絵が浮かび上がる傘も制作した。あるネットユーザーは、「雷さんは、売上を伸ばすことだけでなく、アイデアあふれる商品を作ることに夢中になっている」との声を寄せた。
雷さんは「毎日、数時間かけて300~500件のコメントに目を通している。全てのコメントに自分で目を通して、返信している。真面目に読まなければ、消費者がどんなものを必要としているかが分からない。購入後に問題があった場合もすぐに対応している」と語った。
今では雷さんの傘を紹介する動画が海外でも話題になり、海外のネットユーザーが「ほしい」とコメントを寄せるようになっている。