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A4コピー紙より薄い結晶シリコン太陽電池を開発

2024年02月14日

 中国の江蘇科技大学と隆基緑能科技股份有限公司、オーストラリアのカーティン大学が協力し、このほど、高柔軟性と高出力重量比を持つ結晶シリコンヘテロ接合太陽電池を開発した。関連研究成果は国際的学術誌「ネイチャー」に掲載された。科技日報が伝えた。

 太陽光発電と聞いて、中国の人々が真っ先に思い浮かべるのは、広大な砂漠地帯に広がるおびただしい数のソーラーパネルだろう。一般の人々は長年にわたり、結晶シリコン太陽電池はガラス板のように重くて分厚く、非常に脆くて壊れやすいという印象を持っていた。

 江蘇科技大学科学技術研究院副院長の李陽教授は「結晶シリコン電池は数十年の発展を経て、現在2つの技術的ボトルネックに直面している。一つ目は、大面積の結晶シリコン電池の光電変換効率が26%を突破できずにいることだ。もう一つは、先進的な結晶シリコン電池の厚さは通常150~180マイクロメートルで、水上太陽光発電や曲面屋根、衛星、宇宙ステーションといった、重量や柔軟性に対して要求が高い場での応用が困難なことだ」と説明した。

 結晶シリコン太陽電池は「サンドイッチ」構造になっている。中間はウエハー基板があり、上下はパッシベーション層やドーパント接触層、導電層などで覆われており、このうちウエハー基板の厚さが電池全体の99%以上を占めている。

 研究者が開発したウエハーの厚さは最小50マイクロメートルで、厚さ57~125マイクロメートルの電池のエネルギー変換効率が26.06~26.81%となった。うち厚さ57マイクロメートルの結晶シリコンヘテロ接合電池の出力重量比は1.9ワット/グラムで、曲率半径は19ミリメートル、その出力重量比は市場で流通している商品の2~3倍に達した。

 李氏は「かつて薄膜太陽電池と言えば、非結晶シリコンか有機太陽電池を思い浮かべることが一般的だった。だが、私たちが開発した結晶シリコン電池はA4のコピー紙よりも薄くて、巻くことができる上、薄膜電池よりも薄く、従来の結晶シリコン電池よりも効率的だ」と述べた。

江蘇科技大学
 
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