2024年02月21日-02月23日
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復旦大学の研究者、認知症リスクを予測できる血漿バイオマーカーを発見

2024年02月22日

 復旦大学の研究チームはこのほど、大規模プロテオミクスデータと人工知能(AI)アルゴリズムを使って、将来の認知症リスクを予測する血漿バイオマーカーを発見した。認知症の発症リスクを15年前から予測できるようになる。関連研究成果は学術誌「Nature Aging」に掲載され、「Nature」誌はこの研究について「早期の無症状段階におけるアルツハイマーや他の認知症の血液検査方法の開発に向けて一歩前進した」と評価した。新華社が伝えた。

 認知症の早期発見と介入は、疾患の負担を大幅に軽減するものだ。従来の侵襲的または高コストの検査技術にはいずれも限界があることから、研究者はスクリーニングに使うための、スムーズかつ無侵襲で、信頼できるバイオマーカーを求めてきた。復旦大学脳型知能科学・技術研究院の馮建峰教授と程煒研究員のチームは、同大学附属華山医院の郁金泰教授のチームと共に、大標本データに基づき健常者5万2645人を対象に、平均14年間以上の追跡訪問を行った。うち被験者1417人が全原因認知症(ACD)、691人がアルツハイマー症(AD)、285人が血管性認知症(VaD)と診断された。1463種の血漿タンパク質データの分析を通じて、チームは認知症の予測にとって極めて価値のある血漿バイオマーカーを発見した。

 研究チームによると、モデル分析と機械学習アルゴリズム分析の結果、GFAP、NEFL、GDF15という3種の血漿タンパク質が常にACD、AD、VaDのリスクと最も顕著な関連性を示した。異なる血漿タンパク質の水準と疾患の臨床進行リスクとの間の関連性分析により、GFAP、NEFLまたはGDF15の基準値が高い被験者は、将来的に認知症を発症するリスクが大幅に上昇する。例えばGFAPの基準値が高い人が将来的に認知症を発症する確率は、基準値が低い人の2.32倍になる。

 この研究は今後15年間の認知症発症リスクを予測できる上、その精度は90%を超える。程氏は「これはプロテオミクスが脳疾患の早期の正確な識別と介入において重要な役割を担うことを示しており、今後の脳疾患研究に新たなアプローチを提供する」と述べた。

 研究チームは「今後は中国国内の認知症発症リスクを持つ人のデータ収集と相互検証を行い、関連データを修正し、中国人に最も適した認知症リスク予測データモデルを開発する」と語った。

復旦大学
 
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