2024年02月26日-02月29日
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南京大学の全ペロブスカイト太陽光発電モジュール、光電変換効率の記録更新

2024年02月29日

 南京大学の譚海仁教授のプロジェクトチームが開発した大面積全ペロブスカイト太陽光発電モジュールが新たな進展を遂げた。国際的に権威のある第三者機関のテストで、定常状態における光電変換効率が24.5%に達し、同種モジュールの記録を更新し、今後の産業化発展に向けた技術的基盤を固めた。関連論文は23日、国際的学術誌「サイエンス」に掲載された。新華社が伝えた。

 譚氏は「ペロブスカイトは新型太陽電池の重点的な研究開発方向の一つとなっている。ペロブスカイト太陽光モジュールは従来の結晶シリコン材料と比べて、より軽くて薄く、フレキシブルで半透明といった優れた特徴があり、応用シーンがより豊富になっている」と説明した。

 譚氏のチームはここ数年、ペロブスカイトの研究に取り組んでおり、小面積電池の光電変換効率が28%、大面積積層モジュールの光電変換効率が21.7%になるなどの成果を上げている。

 論文の共同筆頭著者で、同大学博士課程生の高寒氏は「積層モジュールは異なるバンドギャップを持つ電池が積層して構成されているもので、ナローバンドギャップのサブ電池はワイドバンドギャップのサブ電池が吸収できない光を吸収できる。積層モジュールの光電変換効率は理論的にはさらに高く、21.7%という結果は明らかに満足できるものではなかった。実験室で作成された小面積電池はサイズが1平方センチほどしかなく、実用化の価値を持つのはモジュールであるため、大面積積層モジュールの効率を上げるという難題を克服しなければならなかった」と語った。

 高氏によると、難しいのはナローバンドギャップペロブスカイト薄膜の生産工程で「この薄膜は結晶化プロセスが速すぎて、制御が難しい。大面積で作成する場合に薄膜の均一性の問題が生じ、ペロブスカイトの結晶化プロセスが上下で揃わないことがあり、薄膜の底部に大量の欠陥が生じやすい」と説明した。

 この問題を解決するため、譚氏のチームは前駆体溶液にグリシンアミド塩酸塩を加えた。これはペロブスカイトの結晶化速度を落とし、薄膜の作成時間を従来の10倍ほどに延ばすことができる。

 高氏は「この方法で作成したナローバンドギャップペロブスカイト薄膜がワイドバンドペロブスカイト薄膜と結合し、形成する積層モジュールの面積は20.25平方センチに達した。国際的に権威のある第三者機関のテストで、同モジュールの光電変換効率は24.5%に達した。関連データは『Solar cell efficiency tables』に収録されており、現時点で同種のモジュールにこの記録を破られていない」と述べた。

南京大学
 
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