2024年03月01日-03月08日
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浙江大学の新型リチウム電池、-70℃から60℃の環境で自在に充放電

2024年03月06日

 リチウム電池の充電速度や稼働温度、安全性は、電気自動車(EV)の発展における課題とされる。浙江大学は複数の機関と共同で、新たな電解液を開発した。-70℃から60℃の非常に広い範囲でリチウム電池の可逆的充放電に対応できるほか、10分以内の急速充放電も可能となる。関連論文は2月29日、国際的学術誌「ネイチャー」に掲載された。新華社が伝えた。

 論文の責任著者で、浙江大学材料科学・工程学院の研究員である范修林氏は、「リチウム電池の急速充電が新たに進展するためには、電解液の特性が極めて重要だ。従来の電解液のリチウムイオン伝送モデルではリチウム電池の高速移動を実現できない」と説明した。

 こうした問題に対し、范氏のチームは溶剤スクリーニングの原則を構築し、数万種の溶剤の中から23種を選び、配合により複数種類の電解液を作り出し、ソフトパックのリチウムイオン電池を作成して実証研究を行った。

 ソフトパックのリチウムイオン電池は乾パンのようで、さまざまな電解液の配合比率に、異なった機能と効果を示す。浙江大学の研究者は4年間の研究を経て、最終的に電解液の調合法を確立した。

 関連試験データによると、范氏のチームが開発した新型電解液の室温25℃のイオン電導率は、現在商用化されている電解液の4倍で、-70℃の場合では3桁以上上回る。范氏は「われわれが開発したリチウム電池は同等条件下で、10分間の充電で80%まで充電でき、極めて速いイオン伝送を示している。この成果はエネルギーのグリーン低炭素発展をさらに推進するだろう」と述べた。

浙江大学
 
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