中国の東北林業大学で14日、中ロアムールトラ保護・回復研究共同実験室が設立された。業界関係者は「アムールトラ・アムールヒョウの研究・保護活動における重要な出来事」との認識を示した。新華社が伝えた。
アムールトラは世界で絶滅危惧種に指定されている大型ネコ科動物で、主な生息地はロシア極東地域と中国東北地域である。食物連鎖の頂点捕食者で、生息地の健全性の指標種にもなっている。食物連鎖の調節や生態のバランス、生物多様性の維持などの面で重要な役割を果たしている。
データによると、20世紀末には中国の野生アムールトラは10数頭しかなかったが、天然林保護プロジェクトや自然保護地体系建設などの持続的な推進により、中国の研究者が近年モニタリングした野生アムールトラ個体群には、少なくとも20頭の子供が含まれている。しかし、近親交配による群れの免疫力低下や個体群の衰退などが、アムールトラの持続可能な生存と発展を脅かしている。
国際動物学会の劉明副研究員は、「アムールトラは中ロ国境を頻繁に跨いで活動しており、一国のモニタリングと保護措置だけでは不完全で効果的ではなく、国境を越えた協力が特に重要である。またアムールトラは生息地の喪失や密猟、人間との衝突、気候変動など複数の課題にも直面している」と説明した。
中ロ両国は2010年に「中ロアムールトラ・アムールヒョウ越境保護」協力協定に署名している。今回の共同実験室は、東北林業大学国家林業・草原局ネコ科研究センター、ロシア科学アカデミー生態学・進化学研究所で構成され、中ロからの20人以上の専門家が参加。研究分野は、野生動物の生態・管理、アムールトラの飼育・繁殖、野生動物遺伝学、獣類感染症モニタリングなどが含まれる。
共同実験室専門家委員会主任で、東北林業大学教授の姜広順氏は「関連計画によると、双方は将来的に絶滅危惧動物保護・研究の国際科学研究チームを立ち上げ、アムールトラ保護理論・技術交流をさらに深め、関連データの共有を促し、アムールトラ遺伝子バンクの構築、野生動物の感染症モニタリング、人とトラの衝突予防・コントロールなどで協力する」と語った。
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