2024年06月03日-06月07日
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清華大学の研究者、脳型相互補完視覚チップ「天眸チップ」を開発

2024年06月04日

 清華大学脳型計算研究センターのチームがこのほど、世界初の脳型相互補完視覚チップ「天眸チップ」を開発した。関連成果は国際的学術誌「ネイチャー」に巻頭記事として掲載された。新華社が伝えた。

 論文の責任著者で、清華大学精密機器系教授の施路平氏は、「開かれた世界において、スマートシステムは膨大なデータ量に対応するだけでなく、運転シーンにおける突発的なリスクや、トンネル出入り口の明るさの変化、夜間の強い光による干渉といった極端なシーンに対応する必要がある。従来の視覚感知チップでは、こうしたシーンにおいて、歪みが生じたり、効果が失われたり、大きな遅延が発生したりすることが多く、システムの安定性と安全性に限界があった」と説明した。

 これらの問題に対応するため、同チームは脳型視覚感知チップ技術に焦点を当て、視覚プリミティブに基づく相互補完デュアルチャネル脳型視覚感知の新たなパラダイムを打ち出した。

 施氏は「このパラダイムは人間の視覚システムの基本原理を利用し、開かれた世界の視覚情報を視覚プリミティブに基づく情報に分解して表示するとともに、これらのプリミティブの効果的な組み合わせを通じて、人間の視覚システムの特徴を模倣し、2本の優位性が相互補完する情報が完全な視覚感知チャネルを形成する」と述べた。

 チームはこの新たなパラダイムに基づき、世界初の脳型相互補完視覚チップ「天眸チップ」を開発。極めて低い帯域幅とエネルギー消費により、高速、高精度、ハイダイナミックレンジの視覚情報収集を実現し、各種の極端なシーンに効果的に対応し、システムの安定性と安全性を保証することができる。

 またチームは「天眸チップ」により高性能ソフトウェアとアルゴリズムを独自開発し、開かれた環境における車載プラットフォームで性能の検証を行った。複数の極端なシーンにおいて、このシステムは低遅延かつ高性能のリアルタイム感知・推理を実現し、スマート無人システム分野における応用のポテンシャルを示した。

清華大学
 
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