北京大学物理学院量子材料科学センター、北京懐柔総合性国家科学センター軽元素量子材料クロスプラットフォームの教授である江穎氏はこのほど、研究チームがほぼ摩擦のない氷の作成に成功したと明らかにした。関連研究成果は同日、世界的学術誌「サイエンス」に掲載された。科技日報が伝えた。
江氏は「グラフェンなど特定の材料の上で氷結させ、1つか2つの分子層だけを成長させれば、『二次元の氷』と呼ばれるものになり、氷と材料の表面の間の摩擦力が消滅する」と説明した。
研究チームが独自開発した原子レベル分解能走査型プローブ顕微鏡により、個々の原子や分子が積み木のように正確に移動し、再構築できる。江氏によると、研究者はこの技術により、まず銅の表面のグラフェンと窒化ホウ素の基質の上に『二次元の氷』を成長させ、そのミクロ構造を直接観察した。
論文の共同筆頭著者で、北京大学物理学院量子材料科学センター博士の趙正朴氏は「摩擦力測定を行う『二次元の氷』は2万個以上の水分子でできており、積み木と同じく、面積が広いほど、薄く脆くなる。その安定的で正確な操作と摩擦力の測定は容易なことではない。そのためチームは実験を繰り返し、特殊形状の針先を作り、『二次元の氷』の非侵襲的水平方向操作を行い、針先と氷の相互作用エネルギーを測定することで、『二次元の氷』と基質間の摩擦力を推算した。その結果、グラフェン表面のサイズが比較的大きい『二次元の氷』の静止摩擦係数は0.01以下で、ほぼ摩擦ゼロの状態に近づいた」と語った。