SF映画に出てくるような特殊ロボットがすでに、人々の生活の強い味方になっている。手を振るだけで飛ぶ紙飛行機のようなロボットや、子供向けアニメのような空飛ぶロボット犬、水道管や電線を登る「スパイダーマン」ロボットなど、多くのロボットが作業の現場で役立っている。中国青年報が伝えた。
浙江省衢州市の110キロボルト（kV）天寧変電所には、身長約2メートルのスマートロボットがいる。
このロボットの応用が始まった当時、運営オペレーターたちは「ロボットが本当に役立つのか」と懸念していた。国網衢州電力供給公司の運営オペレーターである兪夢賢氏はこの「スマート従業員」について、「先進的なスマート感知、画像認識、高精度ロボットアームの技術を集積し、自動ナビゲーションや赤外線温度測定、開閉器の部分放電検査、開閉操作、自動緊急閉鎖などの機能を持ち、運用保守者の代わりとして働くことができる」と評価している。
特殊ロボットは発電所の点検で高画質カメラや赤外線サーマルカメラなど複数のセンサーを搭載し、設備の全面的なモニタリングと診断が可能だ。狭い通路を通り、高く大きな設備に登り、複雑なケーブルトレイの上を自由自在に行動することができる。
特殊ロボットが急速に台頭しているのはなぜだろうか。
浙江大学湖州研究院大型AGV・自動化フォークリフトプロジェクト科学研究担当者の劉維維氏は「特殊ロボットは特定の応用シーンに基づいて設計可能で、従来のロボットでは対応できない問題を解決できる。例えばヘビ型ロボットは狭い空間に入って検査や修理を行うことが可能だ。次に、特殊ロボットは環境への適応性が高い。一部の『変形する』ロボットは複雑で変化が激しい環境にも適応できる。例えば水中ロボットは海で作業でき、飛行ロボットは空中でのモニタリングや輸送が可能だ。第三に、特定作業に向けた設計の最適化を行うことで、特殊ロボットは実行の効率と効果を大幅に高められる。例えば農業ロボットは農地に基づいて特定の形状・機能に設計可能で、農作物の栽培と収穫の効率を高められる。さらに一部の特殊ロボットは複数の機能を集約し、さまざまなタスクが実行できる。地上・空中モードを自在に切り替えられるロボットは、地上の点検と空中モニタリングが同時にできる」と分析した。
国網杭州市蕭山区電力供給公司の研究開発者である練徳強氏のチームは、掃除ロボットからインスピレーションを得て、固定型、携帯型、回転型の太陽光発電掃除ロボットを開発した。掃除の効率は最高で1時間当たり300平方メートルに達する。
練氏は「特殊ロボットの研究開発と産業化は、市場の発展方向を牽引する必要がある。閉鎖的な環境で研究開発を行うという古い方法を変えなければならない。重要なのは、開放、協力、市場志向のイノベーションエコシステムを構築することだ」と述べた。
清華大学や浙江大学、吉林大学は同社と緊密な産学研協力関係を結び、高圧送電線や共同溝、変電所などで働く多くの特殊ロボットを研究開発している。
浙江大学湖州研究院空・宇宙ロボット研究開発チームは、宇宙ステーションモジュール内の人型ロボットを設計した。「Taikobot」と名付けられ、中国の宇宙飛行士の英語名「Taikonaut」と「Robot」を合わせた名称だ。このロボットは、実際の需要に基づき設計されたものだ。宇宙ロボットアームのような従来の宇宙ロボットは、コストや打ち上げの難易度が高く、低コスト、分散型、スマート化の小型軌道上サービスロボットの開発が必要となっている。
工業・情報化部（省）の金壮竜部長はこのほど、国務院新聞弁公室が開いた記者会見で「新たな科学技術革命と産業変革において、AIや人型ロボットなどが次々と誕生し、各国が将来を見据えた計画と展開に取り組んでいる。AIは経済・社会の発展に新たな原動力を注入し、人々の生産・生活スタイルを深く変えつつある。我々は科学技術革命と産業変革の有利なタイミングをつかみ、企業がいち早く展開し、持続的に投資し、未来の発展の新たな優位性を構築することで、科学技術イノベーションと産業イノベーションの深い融合に取り組むことを奨励・支援する」と述べた。