アルカリ性土壌で栽培され、純粋な海水で灌漑される「海水野菜」を見たことがあるだろうか。中国海南省海口市で行われた第2回海南国際熱帯食材サプライチェーン博覧会に新たな商品作物の「海虫草」が出展され、来場者の注目を集めた。新華社が伝えた。
海口市レジャー漁業開発管理有限公司の職員である張小堅氏は「海虫草の新鮮な若芽は、あえ物やサラダにでき、細かく切って卵と炒めても美味しい。海虫草は生で食べられるだけでなく、抗酸化物質を抽出してサプリメントの製造に使ったり、生物由来の塩などに加工することもできる」と説明した。
同社は2022年に演豊鎮で海虫草の育種、栽培、加工の全産業チェーンを構築し、現地漁師の転職を牽引した。
同社の那欽副総経理は「すでに今後3年分の注文が埋まっており、種子、栽培技術、有機肥料を提供する。農家は一定数の土地を請け負い、栽培・管理する」と述べた。
海虫草の栽培はアルカリ性土壌の総合利用に新たな道を提供している。海南東寨港国家級自然保護区は生態保護の観点に基づきエビや魚の養殖から撤退したエリアに位置するが、養殖撤退後のアルカリ性土壌が長期にわたり遊休化されていた。保護区がある海口市美蘭区演豊鎮・三江鎮の各種アルカリ性土壌は約3000ヘクタールにのぼり、沿岸の廃棄養殖池や干潟・アルカリ性土壌を総合的に活用するため、美蘭区政府は同社を誘致した。
中国熱帯農業科学院分析試験センターは23年、産業の規模化・標準化発展に技術的支援を提供するため、海虫草栽培規則を策定した。同センターの呂岱竹研究員は「海虫草は多くの国で成熟した商品になっている。国内栽培の標準化レベルが向上し、総合的な加工利用技術を持続的に改善することで、全産業チェーンの幅広い市場を構築する」と説明した。
海南省の一部の科学研究機関と企業は近年、海虫草だけでなく、海ブドウやハマミズナなど「海水野菜」の育種や人工栽培に関する研究開発を実施し、前向きな進展を遂げた。一部の品種はすでに大量生産に入っているという。
海南南海熱帯海洋研究所の陳宏所長は「海水野菜の発展は、海から食料を得ようとする『大食物観』を実践する積極的な模索だ。海水野菜の発展は食物源を効果的に多様化している。また、海水野菜は栄養価が高く、薬用価値を持つものも多く、人々の食卓を豊かにするだろう」と述べた。