安徽工業大学の曽傑教授や劉明凱教授らは、中国科学技術大学の李洪良副教授と協力し、環境に優しい空気亜鉛電池用の高効率触媒を開発した。未来のエネルギー分野で重要な役割を果たすことが期待される。研究成果はこのほど、国際的学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。中国新聞網が伝えた。
空気亜鉛電池は単に「空気電池」とも呼ばれ、コンパクトかつ軽量で、使用可能な温度の範囲が広く、腐食性がなく、高い安全性と信頼性で作動する環境に優しい電池だ。しかし、その正極は貴金属であるプラチナに大きく依存し、資源が限られて高価であるため、大規模普及の妨げになっている。
そのため、空気亜鉛電池分野においては、プラチナに代わる優れた性能を持つ正極触媒の開発が重要な科学的問題となっている。
曽氏率いる共同研究開発チームは、化学エッチングと窒素源固定法を組み合わせ、高純度の二原子鉄触媒を調製し、隣接する2つの鉄原子間の距離の正確な調整を実現した。研究者はこの方法を非貴金属触媒にも応用し、鉄や銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、マンガンなど複数種類の非貴金属二原子触媒の調製にも成功した。
研究者はさらに、従来のプラチナ触媒に代わり、二原子鉄触媒を空気亜鉛電池の正極に応用した。その結果、この触媒は優れた触媒作用や複雑な環境に耐える能力、長時間の安定性を示した。これを用いて組み立てた空気亜鉛電池は、平方センチメートル当たり最大190.6ミリワットの出力密度を示し、従来のプラチナ触媒で組み立てた電池(平方センチメートル当たり151.7ミリワット)を大きく上回った。