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武漢軽工大学の研究チーム、レンコン繊維のボーンプレートを開発

2025年03月13日

 武漢軽工大学食品科学・工程学院の易陽教授のチームはレンコンを原料に、カスタマイズしたレンコン線維のボーンプレートを作成し、骨細胞の増殖を促進する技術を開発した。関連技術はすでに動物実験の段階に入っている。湖北日報が伝えた。

 中国のアニメ映画「哪吒之魔童閙海(ナーザの魔童大暴れ)」の中で、太乙真人がレンコンを使って哪吒と敖丙の「肉体を再構築」するシーンは不思議で興味深く、印象的だった。今、科学技術の力により、その神話が現実になろうとしている。

 チームメンバーで、研究責任者の江雪玉博士は「骨細胞の増殖はツタの成長のようなものだ。断裂または破損した骨にカスタマイズしたボーンプレートを装着することで、骨折の部位に保護効果を与え、骨細胞のボーンプレートに沿った増殖を促進し、最終的に骨の修復を実現する」と説明した。

 骨細胞の増殖を実現するためには、ボーンプレートの材料に高い剛性(貯蔵弾性率10キロパスカル以上)が必要で、同時に一定の粘着性も兼ね備えなければならない。市販されているボーンプレートは通常、金属やセラミック、同種異系移植骨などの材料を採用しているが、手術の曝露面積が広く、免疫拒絶反応が深刻といった欠点がある。このほか、従来のボーンプレートには、分解されにくいか、分解速度が新生骨の成長速度と一致しないという問題もある。

 易氏のチームの研究で、天然素材のレンコンは生分解性や低コストといった利点があるものの、レンコン粉を直接用いて作成するボーンプレートの剛性が足りないことがわかった。チームはレンコンを処理した後に3Dプリント技術を利用し、骨折の状況に基づいてボーンプレートを作成しただけでなく、プリントによってレンコン繊維のボーンプレート構造がより緻密になった。

 レンコンがボーンプレートの原材料になるのはなぜか。山芋やジャガイモ、里芋といった根茎類は代替材料となり得るのか。江氏によると、レンコンはデンプンやセルロースなどの巨大分子を豊富に含んでおり、剛性と一定の強靱性を兼ね備えたボーンプレートを作成することができる。またレンコンにはポリフェノールや多糖類などの活性成分が含まれており、抗炎症作用や抗酸化作用を持ち、細胞の成長を促進できる。

 世界のレンコンの約80%が中国で生産され、湖北省は中国のレンコンの里として知られる。易氏のチームはレンコンを十数年研究し、22年よりレンコンのバイオ医学分野への応用を試みている。

 江氏は「研究成果が臨床応用されるまでにはまだ時間がかかる。骨組織の再生過程において、レンコン繊維のボーンプレートも徐々に分解されるが、最も理想的な状況は、新生骨の成長速度とボーンプレートの分解速度が一致することだ。現在の研究は初期段階にあり、レンコン繊維のボーンプレートの生物体内における長期的な安全性などをさらに検証する必要がある。これらの作業は長い時間を要する。じっくりと科学研究と検証を積み重ねてはじめて、患者が安心して使用することができる」と語った。

(画像提供:人民網)

武漢軽工大学
 
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