2025年04月28日-04月30日
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産業チェーンの全面刷新によって生まれる「新たな質の生産力」

2025年04月30日

 中国家電大手、海爾(ハイアール)のスマート製造エンジニアである劉賀新氏は、デジタルツインを活用した可視化管理センターと、精密に稼働するスマート生産ラインを見つめながら、「ここ数年における、老朽化した設備からスマート工場への変貌は、単なる技術の飛躍ではなく、効率と責任に関わるイノベーションだった」と振り返った。人民網が伝えた。

 政府による「買い換え政策」の推進について、多くの人は家電消費の高度化と受け止めていた。しかし、企業側の実践者である劉氏と同僚たちは、この政策には産業チェーンの全面刷新を推進するという別の深い意味があることをよく理解していた。

 劉氏によると、以前の工場の管理は、設備が老朽化していたためデータの収集が非常に難しく、収集率も低かったので、人手に頼ってデータや情報を集めるしかなかったという。しかし今では、海爾が老朽化した設備をスマート化し、人・機械設備・原材料・方法・環境などのデータをすべてクラウドにアップロードして、全ての業務プロセスのデータを相互接続することで、生産ラインにおける自動調整を実現した。これにより、工場の生産効率が向上しただけでなく、顧客からの注文に対する応答時間も大幅に短縮された。

 設備の更新は、単なるハードウェアの高度化だけでなく、ソフト面のブレイクスルーでもある。

 劉氏は「以前は新入社員が設備のメンテナンスを一人前にこなせるようになるまで1年かかっていた。今では、大規模言語モデルをベースに構築された設備スマートエキスパートシステムを利用することで、迅速な習得が可能となった。これまで従業員は部品に触れて、手探りで問題を探していたが、今ではデータを見ながら機械をメンテナンスしている」と説明した。

 炭素排出量を削減する省エネ型冷蔵庫が家庭に普及し、スマートシステムが製造現場に還元され、品質向上に役立っている。国の政策は、ユーザーのニーズと企業の高度化を緊密に結び付け、このような産業チェーンの全面刷新により、経済効果と社会的責任が共鳴し合う構図が生まれた。

 スマート製造は、冷たい機械が人間に取って代わることではなく、技術によって人間を解放するものであり、エンジニアの知恵をより本質的なイノベーションに集中させるものだ。

 劉氏は「これからも、私たちは『刷新』に焦点を当て、ユーザーの暮らしを新しくするだけでなく、業界のために『新たな質の生産力』を築いていく。古いものを新しいものと取り替えることこそが、より良い未来に向けた真摯な約束だからだ」と語った。

(画像提供:人民網)

 
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