中電信量子情報科技集団(中電信量子集団)の科学技術体験館では、「天衍504」と名付けられた量子コンピューターが高速で稼働している。これは現在、中国で最もビット数が多い量子コンピューターだ。中国新聞網が伝えた。
それと同時に稼働しているのは、合肥市全域をカバーする量子都市域ネットワークモニタリングシステムで、画面上では量子暗号化データの流れをリアルタイムで示している。すぐ近くの量子無人捺印室では、スタッフが量子暗号化などの技術サポートを受けたセルフサービスの捺印手続きを進めている。
このように、科学技術体験館には未来感あふれる光景が広がっている。中国電信傘下の量子技術企業である中電信量子集団は、最先端の量子技術を実用化している。
「量子セキュリティSIMカードを差し替えて量子サービスを開通するだけで、普通の携帯電話でも暗号化通話が可能になる」。中電信量子集団の技術者は、世界初の量子暗号化セキュア通話・オフィスアプリ「量子密信密話」を実演した。量子暗号化技術により、メッセージ、音声、動画、ファイル、会議などの通信内容の安全を確保できる。このイノベーションにより、量子技術はもはや実験室の難解な理論ではなくなり、日常生活に本格的に浸透し始めている。
「量子密信密話」は中国国内の行政、緊急対応、金融などの分野で100以上の応用シーンに導入されており、ユーザー数は520万人を突破し、サービス提供先の機関は3000を超える。
中電信量子集団はこのほか、世界最大規模、最多ユーザー数、最多応用数を持つ合肥量子都市域ネットワークを構築し、行政や金融、公共サービスなどにおける情報セキュリティ水準をさらに向上させている。同集団の呂品董事長は「グループは現在、北京や上海など16の主要都市で量子都市域ネットワークの構築を完了している」と紹介した。
量子暗号化や人工知能(AI)、デジタル捺印制御などの技術を融合した量子クラウド捺印は、従来の管理モデルを変えつつある。この革新的製品は、安徽省や北京市、陝西省、黒竜江省、河北省など複数の地域で、行政手続きや企業のプロセス管理などに導入されている。
中電信量子集団はこれまでに、20以上の量子技術製品を発表しており、その応用範囲は行政や金融、工業など10以上の産業をカバーしている。これらの成果は、中国の量子技術産業化が重要な一歩を踏み出したことを示している。
「天衍」量子コンピューティングクラウドプラットフォームは現在、「政産学研用(行政・産業・大学・研究機関・ユーザー)」の深い融合による応用イノベーションエコシステムを構築している。技術者は「われわれは量子アルゴリズムと既存のアルゴリズムを融合させ、気象予測などに応用しようとしている」と説明。「商業応用では、生物化学や材料製造、フィンテック、機械学習などの分野での応用研究を推進している」と述べた。
教育は量子産業発展の基礎だ。量子教育情報学科の建設に向けて、中電信量子集団は中国科学技術大学などと共同で、量子コンピューティング教育システムを構築し、江蘇省や湖北省、湖南省など複数地域の大学とも協力し、量子コンピューティング学科の建設と人材育成を推進している。
現在、「天衍」量子コンピューティングクラウドプラットフォームのアクセス数は2700万件を超え、50カ国以上のユーザーに対応し、実験タスク数は140万件を超えている。将来的には、中国の超伝導量子コンピューター「祖沖之3号」を接続する計画で、さらなる計算能力の向上を図る方針だ。