2025年06月23日-06月30日
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ロボットが商品を勧める「AIスーパー」中国に登場

2025年06月30日

 スーパーに入ると、スマートロボットが近づいて来て、おすすめの商品を案内してくれる。野菜や果物を選ぶ時に電子値札を見ると、商品の生産地や陳列された時間などの情報がチェックできる。さらに、セルフレジで決済でき、列に並ばずに済む。中国ではAI技術と小売りの融合が日々進化し、従来の商業施設やスーパーが、どんどん「スマート」になっている。人民日報海外版が伝えた。

ショッピング体験が改善

 北京市海淀区のスーパー「物美超市」学清路店では、野菜をスマートスケールに置くと、種類や価格、重さなどが表示され、決済用のバーコードが自動で印刷される。スーパーのスタッフは「このスマートスケールにはAI技術が採用されており、生鮮食品の重さを、お客さんが自分で測ることができるようになっている。以前は、スタッフが商品コードを覚え、重さを測って、バーコードをプリントしなければならず、時間がかかっていた。導入後、作業効率は80%向上した」と説明した。

 AI技術を応用したセルフレジシステムは、決済を円滑化させている。

 浙江省杭州市のスーパー「三江購物」の店舗では、商品をセルフレジの指定スペースに置くだけで、システムが画像認識によって、合計額を計算し、QRコードをスキャンするだけで決済することができる。寧夏回族自治区銀川市のスーパー「新華百貨」はスマートセルフショッピングマシンを導入。機械学習技術を活用して、商品を認識することができ、決済の精度は99%以上となっている。スマート損失防止システムも搭載されており、リアルタイムでモニタリングでき、スキャン漏れや万引きなどを効果的に減らすことができるという。

経営効率が向上

 スーパーのAI商品選択システムのおかげで、消費者がどんな商品を買いたいと思っているかが把握できるようになっている。「物美超市」学清路店の梁海岩副店長は「AI商品選択システムは、市場の消費動向やソーシャルメディアの話題といったさまざまなデータをリアルタイムで追跡でき、商品の品出しコスト、粗利のポテンシャルなどの指標を考慮して、消費者のニーズの変化を常に把握することができる」と説明する。

 物美集団広報担当者の許麗娜さんによると、商品選択だけでなく、商品補充や在庫一掃などでもAIを応用しているという。

 許さんは「AI商品補充システムは、店舗が必要としている商品補充量を自動で計算したり、店舗の商品の販売履歴を分析する。商品の季節性、祝祭日、販売促進、天候といった要素に基づき、商品の補充頻度と数を最適化し、よく売れている商品は補充を続け、売れていない商品はできるだけ早く処分することができる。AI商品補充システムの判断の精度は95%以上に上っている」と語った。

 生鮮食品をいかに売り尽くすかというのは、小売業界が最も頭を悩ませる課題だ。AI在庫一掃システムという「価格設定のプロ」が登場したことで、その悩みが減ったという。梁副店長によると、AI在庫一掃システムは、各商品の在庫状況や販売ペース、季節の変化などをリアルタイムでモニタリングし、一連のアルゴリズムを通じて、赤字や賞味期限切れを防ぐために、在庫一掃計画を自動で制定してくれる。「以前は、生鮮食品を画一的に割引して処理していた。しかし今は、システムがどの商品の価格をいつ調整するか、どれほど調整するのが最適かなどを、自動で計算してくれる」という。

スマート管理を推進

 AIは「スマート管理者」や「スマートカスタマーサービス」として、商業施設やスーパーが効率的に運営管理できるようサポートしている。

「物美超市」学清路店の冷蔵庫のドアにあるパネルには冷蔵庫の温度が表示されていた。許さんによると、AI技術を応用したコールドチェーンスマート制御システムは、カメラやセンサーを通して、冷蔵庫の温度や湿度の変化、冷却装置の稼働状況をリアルタイムでモニタリングしてくれる。システムは温度の異常な変化、または装置の異常を検知すると、すぐに自動で原因を分析し、専用のアプリで店内の管理者に情報を送信する。

 スーパー内の照明も、AIが統一して管理・制御している。許さんは、「照明管理システムは、時間帯や客の数、商品の地域特性などに基づいて、照明の明るさや色温度を自動で調整してくれる」と述べた。

 物流管理においても、AIは大活躍している。ウォルマートと達達(ダダ・ネクサス)が連携して打ち出した「1時間以内配送」業務では、「達達優揀」システムが、「滄海」システムや「海博」システムのサポートの下、全てのプロセスをデジタル管理・制御している。AIシステムは、交通状況や店舗の位置、受注密度といった要素を総合的に検討し、最善の物流配送経路を計画できるほか、店舗における商品の正確な位置情報を知らせて、スタッフがスピーディーに商品を探し出すことができるようサポートする。

 AIカスタマーサービスは、小売業界の人件費を削減すると同時に、サービスの質を高めている。物美超市はAIカスタマーサービス導入後、24時間体制で「よくある質問」に自動で答え、3秒以内に注文のチェックを終わらせ、どのような状況の場合、返品が可能かを回答できるようになった。システムはユーザーのニーズが独特であると認識すると、スタッフにシームレスで接続するほか、ユーザープロファイルを送信して、カスタマーサービスのスタッフが、「先回りして答える」ことができるようサポートしている。

 業界関係者は、AI技術が継続的にアップデートされるにつれて、AIと小売業界の融合がさらに深まり、効率的かつスマートで個別対応できる小売を消費者に提供できるようになると見ている。

(画像提供:人民網)

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