2025年09月01日-09月05日
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アモイ大学の研究者、単細胞窒素固定シアノバクテリアの世界的な窒素固定量を評価

2025年09月03日

 アモイ大学の史大林教授率いる研究チームは、単細胞窒素固定シアノバクテリアによる世界的な窒素固定量を初めて体系的に評価し、海洋窒素固定への重要な貢献を明らかにした。この成果は、海洋生物による窒素固定研究に詳細かつ重要なデータを提供するとともに、気候変動下における海洋の窒素循環と生産性循環の変化を理解するための新たな視点をもたらした。研究成果はこのほど学術誌「国家科学評論(National Science Review)」に掲載された。科技日報が伝えた。

 植物プランクトンの光合成によって駆動される生物炭素ポンプは、海洋における二酸化炭素固定の主なルートの一つだ。しかし、世界の海域の半分以上では、一次生産が窒素栄養塩の不足によって制約されている。窒素固定生物は、大気中の窒素を生物が利用可能なアンモニウムに変換でき、貧栄養海域における重要な窒素源となる。この働きは、海洋の一次生産を支え、海洋の炭素吸収機能と気候調節において極めて重要な役割を果たしている。しかしこれまで、窒素固定生物とその固定速度の体系的な評価はサンプリング不足のために不十分であり、世界規模での海洋窒素固定量の正確な推定を妨げ、ひいては海洋炭素吸収量の評価精度にも影響を与えていた。

 研究チームは、北西太平洋の亜熱帯渦流域で高分解能の観測を行い、窒素固定生物群集の豊富さ、構造、窒素固定速度を定量的に分析するとともに、モデルを用いて窒素固定シアノバクテリアの生態的ニッチ特性を記述し、世界の海洋における主要な分布パターンを予測した。その結果、単細胞窒素固定シアノバクテリアが北西太平洋の海盆規模で高い窒素固定速度を支配・推進していることが判明し、同様の貧栄養海域にも広く分布し、窒素固定に寄与している可能性が示された。

 今回の研究は、単細胞窒素固定シアノバクテリアによる窒素固定プロセスを解明し、世界の海洋の窒素固定においてこれまで見過ごされてきた重要な役割を強調し、従来の窒素固定モデルが過小評価していたその重要な役割を指摘した。また、一般化加法モデル(GAM)を用いた生態的ニッチモデルの枠組みを構築し、環境因子が窒素固定シアノバクテリアの豊富さを制御するメカニズムを効果的に解析するとともに、その世界的な分布をシミュレートした。これにより、気候変動下における海洋生物窒素固定パターンの変化を予測するための重要なパラメータと理論的基盤を提供した。

アモイ大学
 
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