2025年10月20日-10月24日
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清華大学が優勝 AI自動運転車、張家界「99のカーブ」に挑戦

2025年10月24日

 中国湖南省張家界市で18日、AIレーシングカーのタイムを競う「Hitch OpenワールドAIチャンピオンシップ」の決勝戦が行われた。改良されたAIアルゴリズムを駆使した清華大学のチームが16分10秒838のタイムで優勝。湖南大学と吉林大学のチームがそれぞれ2位と3位に入った。中国新聞網が伝えた。

 今大会は4月にスタートし、「技術選抜」から「実戦検証」までの段階的なスケジュールで進められてきた。上海でのキックオフサミットを皮切りに、仮想シミュレーションによる予選・準決勝を実施し、最終的に中国国内のトップ大学7チームが実車での実地走行に挑戦する資格を得た。7チームは8日までに標高1300メートルを超える天門山に集結し、AIアルゴリズムの調整や整備作業を行った。

 天門山は「AIレース界のエベレスト」と称される。全長10.77キロメートルのコースは標高200メートルから1300メートルまで一気に駆け上がり、99カ所のカーブの多くが180度のヘアピンカーブという、急勾配と高低差を組み合わせた過酷な地形となっている。特にトンネルや視界の悪い区間ではナビゲーション信号が途切れ、AIはセンサーとアルゴリズムだけを頼りに運転を行わなければならず、その難易度は極めて高い。

 10月8日から17日までは主要競技期間とされ、各チームの車両には統一規格のPIX Moving製軽量スマートシャーシが使用された。大会委員会は公平を期すため、各チームに1日1時間の走行時間を割り当て、審判の立ち会いのもとで走行データを記録した。10日間のうちの最速記録が最終成績として採用され、清華大学「エクストリーム・レーシング」チーム、湖南大学「HIVE」チーム、吉林大学「智翼AI」チームの3チームが決勝に進出した。

 18日は張家界で雨が続き、決勝の時間帯も路面には大量の水が残っていた。安全上の判断から、清華大学チームは最終アタックを断念し、事前に記録した16分10秒838のタイムが採用された。湖南大学HIVEチームは走行の半ばで車体がスリップした。吉林大学智翼AIチームは悪天候と劣悪な路面状況を克服し、24分21秒723で完走。自己ベストを更新した。

 今回の大会の大きな特徴は「データの完全公開」にある。大会組織委員会はこの日、「霧・トンネル・急坂・急カーブ」など極限環境の走行データを収録した「ゴールデンデータセット」を発表した。このデータセットは世界の企業や研究機関に無償で公開され、AIの物理的知能(フィジカル・インテリジェンス)における「データボトルネック」を打破するための重要な基盤となるとみられている。

(画像提供:人民網)

清華大学
湖南大学
吉林大学
 
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