2025年12月01日-12月05日
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脳と機械をつなぐBMI技術、医療・産業で急速に拡大

2025年12月05日

 ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)は、脳と機械のあいだに情報のやり取りを行う経路を設け、生体の情報処理と機械による処理を結びつける技術で、生命科学と情報科学が交差する領域の先端分野とされている。人民網が伝えた。

 現在、BMI技術の活用は各分野で広がりつつある。医療分野では早くから応用が始まり、神経機能の障害がある患者のリハビリ支援、重度疾患の診療補助、麻痺のある患者による義肢操作の補助などに利用されている。コンシューマー向け電子機器でも技術検証が進み、脳波入力を利用したAR(拡張現実)グラスや、感情状態を記録するスマートヘッドバンドなどが発売されている。産業安全の分野では、地下工事や大型車両の運転といった場面で、状態監視、遠隔操作、意思決定支援などの試験的運用が行われている。

 中国では、「技術主導・産業集積・政策支援」という構造がある程度整い始めている。技術面では、侵襲型BMIなどの新しい領域で先進研究の一角を占める例が出てきており、清華大学と博睿康が共同開発したNEOシステム、復旦大学の脳脊髄インターフェース技術などが臨床で成果を示している。

 産業面では、地域ごとの役割分担が進んでいる。京津冀地域(北京・天津・河北)は基礎研究と研究開発環境の整備、長江デルタは医療資源を背景とした臨床応用と製品化、珠江デルタは製造基盤を生かしたハードウェア開発と商用展開を中心に取り組んでいる。

 政策面では、工業・情報化部(省)を含む7部門が共同で「BMI産業の革新的発展を推進するための実施意見」を打ち出し、2030年までに国際競争力のある産業エコシステムを構築する方針が示されている。

 BMI産業の発展を進めるうえでは、次の3点が重要とされる。第一に、高密度フレキシブル電極や低消費電力チップなど、要となる技術分野の研究を強化し、研究課題を公募する仕組みを整備して、共通技術プラットフォームを開き、研究開発の負担を軽減すること。第二に、政府・産業界・学術界・研究機関・利用者の連携を深め、成果の事業化を促すイノベーション基盤をさらに整えること。第三に、BMI技術に関する倫理審査と監督体制の整備を進め、技術発展と安全性のバランスを取る枠組みを確立することである。

(画像提供:人民網)

 
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