天津大学のネットワーク・クラウドコンピューティングチームはこのほど、Wi-Fi信号を用いて室内の人の行動や状態を推定する無線センシング技術に関する研究成果を発表した。家庭内のWi-Fi信号の変化を解析することで、音声指示を用いずにスマートホーム機器を制御できる可能性を示している。関連する研究成果は国際学術誌「IMWUT」に掲載された。新華社が伝えた。
研究チームによると、現在のスマートホームシステムは、利用者の指示や専用センサーに依存するケースが多く、利用者の状態変化を継続的に把握することは容易ではないという。今回の研究では、新型の高精度センシングアプリケーションを開発し、利用者が装着型デバイスなどを身に着けることなく、人体の動きによって生じる室内のWi-Fi信号の微細な変化を分析して、人の位置や状態、行動を感知し、推定する手法を検討した。
こうした高精度センシング技術を実際の居住環境で利用するには、システム導入の手間や、家具や壁による信号の遮蔽・反射で精度が低下するといった課題があるという。
「導入の難しさ」という課題に対し、チームは家庭で普及が進むロボット掃除機に注目し、それを環境情報の取得に活用する方法を採用した。掃除ロボットが清掃と同時に行う空間マッピングの過程では、住宅の物理空間マップとWi-Fi信号分布を自動的に生成し、ルーターやスマートスピーカーなどの設置位置を約0.1メートルの精度で推定できるとしている。これにより、専門的な設置作業を行わずに初期設定が可能になるという。
また、「精度が低い」という課題に対しては、チームは従来モデルにある「信号は遮蔽されない」という理想的な仮定を排除し、物が多い実際の住居環境に対応した新たな理論モデルを初めて構築した。このモデルは、複雑な環境におけるWi-Fi信号の伝播規則を「理解」でき、実際の家庭で安定的かつ信頼できる高精度センシングを実現したという。
天津大学コンピューター科学・技術学院の佟鑫宇副教授は、「この研究成果は、ワイヤレスセンシング技術が多くの家庭に普及するための重要な障害を取り除くものであり、将来的には、よりスマートで、きめ細やかな居住環境を構築するための技術的基盤を提供する可能性がある」と述べた。

ロボット掃除機を応用して家庭用機器の位置を自動的に特定するイメージ図。(画像提供:新華社)