食肉消費量が右肩上がりの中国で、大豆などを原料とする代替肉が注目を集めている。健康志向が高まる中、味や食感も追求する「美食化」競争が激化。食料安全保障を重視する習近平指導部がタンパク源の多様化を指示したことも追い風になっている。
「鶏肉かと思った」。ダイエットに励む北京の30代女性は代替肉の唐揚げを食べて驚いた。中国で代替肉は「人造肉」とも呼ばれ、大手通販サイトや一部スーパーで関連商品が購入できる。
中国は急速な経済成長に伴い大都市を中心に食肉需要が高まった。統計によると2000年の食肉消費量は都市部で1人当たり年間25キロだったが、23年には農村部を合わせた平均でも52キロに増加。一方で中国は肥満と前段階の過体重を合わせた人口が世界で最も多い。食生活改善の一環として代替肉に関心が寄せられている。
「これからはおいしさで勝負だ」。代替肉の新興企業「蘇陀科技」の張偉社長は北京市郊外の研究施設で、ハンバーガーなど10種類ほどの試作品を並べた。「日系航空会社の機内食の導入実績もある」とアピールする。
大豆などを原料とする代替肉を使った試作品=1月、北京(共同)