中国科学院のチームは、中国の無人探査機「嫦娥6号」が世界で初めて月の裏側から持ち帰った砂には、表側で採取された砂の100分の1程度しか水分が含まれていなかったと発表した。地球からは見えない月の裏側は、表側よりも乾燥した環境とみられる。研究成果は10日、英科学誌ネイチャーに掲載された。
裏側で採取した砂に含まれていた水分は、砂1グラム当たり最大で1.5マイクログラム(マイクロは100万分の1)程度。米国などがこれまでに月の表側で採取した砂の試料は、同1~200マイクログラムだった。
嫦娥6号は昨年5月に打ち上げられ、同6月に月の裏側の南極域にある巨大クレーター「エイトケン盆地」に着陸した。同盆地で土壌や岩石などを採取した。
月を巡る開発競争が激化しており、中国は2030年までに中国人初の月面着陸を実現させる計画。米国も国際月探査「アルテミス計画」を推進中で、「アポロ計画」以来半世紀ぶりとなる有人月面着陸を27年に予定する。
月には水が氷の状態で存在するとみられる。
中国国家宇宙局が、月の裏側で試料採取した無人月面探査機「嫦娥6号」として公開した画像(同局のサイトから、共同)
(共同通信提供)