呉越同舟(ごえつどうしゅう)
意味
仲の悪い者同士が共に危機を直面するとき、互いに協力し合って一緒に困難を乗り越えることの例えである。
原文
”夫吴人与越人相恶也。当其同舟而济,遇风,其相救也如左右手。”
注:『孫子』では、兵法には九つの“地”があり、九番目のものを”死地”であるという。死地といっても、入れば必ず死ぬ場所ということではなく、逡巡(しゅんじゅん)せ
ずに直ちに戦えば生きる道がある場所である。
兵を死地に置いて戦うことの重要さを説明するために、孫子は呉越同舟の話を用いる。
「呉と越は仇敵同士だが、仮に呉人と越人が同じ舟に乗り合わせ川を渡る場合、強風で今にも舟が転覆しそうになれば、呉人も越人も普段の敵対心を忘れ、互いに助け合って(左手と右手のように)危
機の乗り越えようとする。」
兵を死地におけば、兵の心を一つに固めることができるということである。