第8回研究会「中国の科学技術政策および基礎研究助成金配分の仕組み」/講師:姚建年(2008年3月25日開催)
科学技術振興機構(JST)中国総合研究センター主催の第8回研究会は3月25日(火)JSTにて開催されました。
中国自然科学基金委員会副主任(副大臣に相当)、中国科学院院士、JST・中国総合研究センターアドバイザリー委員会委員の姚建年(ヨウケンネン)氏を講師にお招きし、「中国の科学技術政策および基礎研究助成金配分の仕組み」についてご講演いただきました。
姚氏は酸化チタン光触媒の反応を世界で最初に発見した藤嶋昭東京大学特別栄誉教授(現在、財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長、JST中国総合研究センターセンター長)の東京大学工学部藤嶋昭研究室に1980年代後半に私費留学し、90年に修士、93年に博士号を取り、博士課程在学中に、科学誌「Nature」に論文が掲載されるほどの実績を上げました。95年帰国後、中国科学界のリーダーとして活躍、中国化学会秘書長、中国科学院化学研究所副所長、学術委員会副主任、第9期全国政治協商会議委員、中国科学院学位委員会委員、国家自然科学基金委員会工程・材料学部評価委員会審議員、中国科学院物理研究所表面物理国家重点実験室学術委員会委員等の要職を経て、2008年1月から現職に就き、3月開催の第11期全国人民代表大会で常務委員会委員、教育科学文化衛生専門委員会委員に選出されています。
同氏は講演の中で、2006-2020年までの今後15年間の中国の科学技術政策の根幹となる「国家中長期科学技術発展規画綱要」に掲げられた「発展目標」と「全体計画」を解説し、国が重点的に取り組む「重点領域」「重大特定プロジェクト」「基礎研究」の計画内容及び中国の基礎研究への財政投入や論文産出の推移などを分りやすく紹介しました。また国の自然科学基金の管理、基礎研究・人材養成プロジェクトへの助成金配分を主要なミッションとする国家自然科学基金委員会(NSFC)の組織体制、予算の推移、プロジェクト評議システム、プロジェクト類型別・学科別助成金配分の実績と成果などに触れ、2006‐2010年までの基礎研究プロジェクト・人材養成への助成金配分計画、並びに日本のファンディング機関JST、JSPSとの交流・協力など幅広い活動内容の紹介を行いました。
講演の後、活発な質疑応答が行われ、藤嶋昭センター長の閉会の挨拶で締め括られました。 研究会には、官公庁、大学、研究機関、企業、報道機関、及びJSTなど多数の関係者が参加しました。
江雷教授ら3名の方は、2006年12月北京で開催された「藤嶋昭教授を囲む日中研究交流会」に参加し、光触媒における研究成果を発表されています。今回の講演は、その後の光触媒研究の成果や中国の最新の研究動向を日本の関係者に知らせる良い機会となりました。
研究会には、官公庁、大学、研究機関、企業、報道機関、及びJSTなど多数の関係者が参加しました。今回の講演記録は、別途整理の上、中国総合研究センターのホームページに掲載する予定です。
講演資料
「中国の科学技術政策および基礎研究助成金配分の仕組み」( 840KB )
(中国総合研究センター フェロー 内野秀雄 記)