【08-007】2008年上半期の中国経済とイノベーション
2008年7月23日〈JST北京事務所快報〉 File No.08-007
7月17日、国家統計局は2008年上半期の中国経済の状況について発表した。それによると、2008年上半期の中国のGDPは13兆619億元で前年同時期比10.4%の伸びだが、伸び率は1.8ポイント下がった、とのことである(1月~6月の経済状況について毎年この時期(7月中下旬)に発表されるのは一種の「速報値」であり、後に若干の修正が行われることがあるので、その点には御留意いただきたい)。
「国民経済はマクロ経済調整が予期した方向へ向かって発展している」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-07/18/content_61326.htm
各部門ごとの2008年中国経済上半期の状況のポイントは以下のとおりである。
- 農業については夏収穫食糧(冬小麦など)の生産量は1億2,041万トンで対前年比2.6%増で5年連続で増産となった。
- 工業生産の伸びは緩やかになっている。2008年上半期の全国の一定規模以上の工業企業の利潤は1兆944億元で対前年同時期比20.9%の増となり、伸び率は前年に比べて21.2ポイント下落した。
- 固定資産投資は安定的に伸びている。2008年上半期の全国の社会固定資産投資は6兆8,402億元で、対前年同時期比26.3%の増であり、伸び率は前年を0.4ポイント上回った。
- 国内消費は急速に伸びている。2008年上半期の社会消費物資販売総額は5億1,042億元で、対前年同時期比21.4%の増であり、伸び率は前年を6.0ポイント上回っている。
- 消費者物価の上昇幅は鈍りつつあるが、生産者価格の上昇幅は拡大しつつある。2008年上半期の消費者物価水準は対前年同時期比7.9%の上昇であった。
- 輸出の増加速度は鈍っており、大陸外部からの直接投資は急速に伸びている。2008年上半期の輸出額は6,666億ドル、対前年同時期比21.9%の増で、伸び率は前年に比べて5.7ポイント下落した。輸入額は5,676億ドル、対前年同時期比30.6%の増で、伸び率は前年を12.4ポイント上回った。このため貿易黒字は990億元となり、対前年同時期比33.4%のマイナスとなった。一方、投資された外資(実行ベース)は524億元で、対前年同時期比45.6%の伸びであり、この伸び率は前年を33.4ポイント上回った。この結果、6月末時点での外貨準備額は1兆8,088億ドルとなり、対前年同時期比35.7%の増加となった。
(注)中国の統計における「大陸外部からの投資」には、外国からの投資のほかに香港、台湾からの投資も含まれている。また、「外国からの投資」の中にはモーリシャス、ケイマン諸島、バージン諸島、サモアといった「タックス・ヘブン地区(会社の設立に際しての税金が極めて有利な地区)」からの投資も目立っている。正確な数字はわからないものの、この「タックス・ヘブン地区」からの投資のかなりの部分は中国国内の企業がこれら「タックス・ヘブン地区」にペーパー・カンパニーを設立して行う「迂回投資」であると言われている。従って、「大陸外部からの投資」のうち、本当に「外国」から投資されているものは一部であることに留意する必要がある。ちなみに「中国経済データハンドブック2007年版」((財)日中経済協会)によれば、2006年の実行額ベースで見ると、「大陸外部からの投資」に占める割合は、香港が32%、台湾が3%、タックス・ヘブン地区が26%で、これらを合わせると61%に達する。「純粋な外国からの投資」の動向を見る場合には、これらの地域からの投資は除外して考えた方がよい。
この数字を総体的に見れば、経済がバブル化し、急激なバブルが弾けることを警戒して行った様々なマクロ経済政策(金利引き上げや銀行準備率の引き上げ等)にもかかわらず2008年の上半期も固定資産投資は前年と同じ程度伸びている一方で、消費者物価は7.9%という高い水準で上昇し続けている。逆に「世界の工場」として中国経済の「バブルではない実力の部分」を支えてきた工業生産の伸びが鈍化していることが特徴的である。「人民日報」の記事では、好ましくない状況についてのニュースについても「予定通り」などといったタイトルを付けることが多いが、上記の記事のタイトル「国民経済はマクロ経済調整が予期した方向へ向かって発展している」は、そういった「読者にショックを与えない配慮」を超えて、やや事実と異なっていると思われる。ブレーキを掛けようと思った対象にはそれほどブレーキが掛かっておらず、本来はもっと伸びて欲しい分野にブレーキが掛かっているからである。
実は、この国家統計局による2008年上半期の中国経済情勢に関する発表を前にして、7月上旬、国家指導者が相次いで江蘇省、浙江省、上海市、広東省などの沿岸部(輸出用製造業の中心地で、いわば中国の経済成長の「機関車」の役割を果たしている地域)を視察している。
「指導者の沿岸部視察」(2008年7月15日)
http://www1a.biglobe.ne.jp/jcbag/tanaka_report080715.pdf
上記の田中修氏のレポートにまとめられている7月上旬の国家指導者の沿岸部視察を列記すると以下のとおりである。
○温家宝総理:7月4日~6日、江蘇省(蘇州)と上海市を視察
「温家宝総理、江蘇省と上海市を視察した際、経済をよく速く発展させることを強調」
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-07/06/content_8499192.htm
○習近平政治局常務委員:7月4日~5日、広東省(深セン、東莞)を視察
「習近平政治局常務委員が広東省視察時に強調:Win-Winの関係を持って香港・マカオと協力しなければならない」
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-07/05/content_8495871.htm
※今回の習近平政治局常務委員の南方視察は香港訪問が主目的であり、香港へ入る前に広東省を視察したと見られる。
○王岐山副総理:7月3日~5日、山東省(烟台、威海)を視察
「王岐山副総理が強調:外国貿易の発展方式を転換し、金融の安定を維持しなければならない」
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-07/05/content_8495018.htm
○李克強政治局常務委員・副総理:7月6日~8日、浙江省(温州、杭州等)を視察
「李克強副総理が浙江省視察時に強調:経済の安定的でスピードある発展を維持しなければならない」
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-07/08/content_8513222.htm
○陳徳銘商務部長:7月第1週、浙江省(温州、台州等)
「商務部、大規模な外国貿易企業の視察を実施~製造業に掛かるプレッシャーを支援する政策の展開が望まれる~」
http://www.morningpost.com.cn/bjcb/html/2008-07/07/content_74544.htm
これだけ同じ時期に多くの国家指導者が沿岸部を視察する、というのは、かなり異例のことだと思われる。(参考7)の「北京晨報」の記事では、今回の商務部長の視察は、最近、台州市椒江区で7つの企業が「異常な倒産」をしたとの情報があり、「経営者蒸発」といった現象が起きるなど、浙江省の外国貿易に頼る企業の「生存」が脅かされているという事実と関係している、との記者の見方を紹介している。
これらの国家指導者の沿岸部の視察が終わった直後、人民日報は以下の二つの評論を掲げた。
「『メイド・イン・チャイナ(中国制造)』はいかにして難局を脱出するのか」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-07/10/content_56366.htm
(参考8)「人民日報」2008年7月11日付け10面「人民時評」
「『中国制造』から『中国智造』へ」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-07/11/content_57162.htm
これらの国家指導者の動きと人民日報の二つの論評とは連動していると思われる。「広東省」「台州市」といった地名の固有名詞が一致しており、「イノベーション」「金融改革」といったキーワードも共通するからである。
上記の二つの人民日報の評論記事のポイントは以下のとおりである。
---「人民日報」2008年7月10日付け論評「『メイド・イン・チャイナ(中国制造)』はいかにして難局を脱出するのか」のポイント---
- 広東省統計局が6月30日に発表した数字によると、今年(2008年)1月~5月の5か月間で、広東省の一定規模以上の工業分野の企業で赤字になったのが11,006社で、その数の増加率は12.7%である。この数は広東省全体の工業分野の企業の26.0%に当たる。赤字額ベースで言うと、増加率は49.3%に上る。
- 広東省と同じように市場経済が発達している浙江省台州市では、5,371社ある一定規模以上の企業のうち赤字なのは1,111社で、赤字額総計は対前年比55.7%増である。
- こういった企業の業績不振は、国際経済の変化によるものだ。人民元為替レートの上昇、原油をはじめとする原材料価格の上昇と世界的な経済成長の減速が「メイド・イン・チャイナ」が生き残る「空間」を狭くしている。
- 浙江省の紡績アパレル業界は、輸出依存度が60%であり、これらの要因の影響を大きく受けている。
- これまでの中国の輸出産業は、安い労働力と安い資源価格、増値税の還付措置などで守られてきたが、今は難しい局面に直面している。
- 市場経済が進展した現状にあっては、政府が先祖返りするような財政的な補助金政策を行うことはあり得ない。政府は自主的なイノベーションを進めるための環境を整備する政策を採らなければならない。
- 金融政策もまた重要である。政府は、金融制度を刷新して、金融企業が主体的に産業に金融サービスを提供するようにできるであろうか?
- 「メイド・イン・チャイナ」の更なる「創新」は、社会的価値観を作り上げることと無関係ではない。不動産投機で設けている人たちが莫大な利益を上げている時、割に合わない技術の研究開発に魅力を感じるだろうか?何千万人もの「サラリーマン」が株式市場で一攫千金を夢見てばかりいたのでは、コツコツと勤勉に働くことによって富を得るという職業精神をどうやって向上させようというのか? 創新(イノベーション)の成果を尊重することによってはじめて、自主的な創新を推し進めようとする力を永続させることができるのである。
- 「メイド・イン・チャイナ」の苦境は中国の経済・社会の縮図である。長期的な高度経済成長の後には、経済と社会の深層に様々な矛盾が生じることを避けることはできない。「メイド・イン・チャイナ」が遭遇しているプレッシャーを、これからの成長のための動力源にし、困難に立ち向かっていくこと以外に新しい道へ脱出する方法はないのである。
---「人民日報」2008年7月11日付け論評「『中国制造』から『中国智造』へ」のポイント---
- 現在、中国経済は多くのチャンレンジに直面している。雇用の観点からすれば、大量の中小製造業企業が必要であるが、人民元為替レートの上昇やエネルギー等の生産資源コストの上昇により、中小企業は大きな困難に直面している。これを克服する道は平坦ではないが、我々は外国企業の事業展開の変化に学ぶべき点がある。
- 現在、多くの多国籍企業が中国に研究開発拠点を移しつつある。いわば「中国研究開発ブーム」が一段と高まっているのである。2001年においては中国に研究開発センターを置いていた外国企業は100社程度であったが、2007年には1,000社を超える外国系企業が中国に研究開発センターを設置している。2005年~2009年の投資計画で見ると、61.8%の多国籍企業が研究開発目的で中国に投資しようとしている。研究開発目的の投資の投資先は中国が最も多く、次いで米国の41.2%、インドの29.4%の順となっている(注1)。
- 彼ら多国籍企業は中国の優れた性質、即ち、膨大な「智力資源」(=人材)を中国の中に見い出しているのである。一人のドクターを採用するにあたり、中国では米国の4分の1の費用で済み、一方でその効率は米国の約6倍である(注1)。このようなコスト・ベネフィットの良さが多国籍企業が中国の人材活用を加速させているのである。
(注1)中国の新聞では、由緒正しい「人民日報」ですら、記事の中で使っている数字の出典を示さないことが多い。上記の数字も興味深い数字ではあるが、出典が書かれていないので、読者はその信憑性を確認することができない。 - マイクロソフト社の例で見ると、マイクロソフト社の研究開発グループ企業は、最近では8,000人規模を雇用している。マイクロソフトVista関連システムには、中国の研究開発人員が大きく貢献しているのである。
- 我々は「メイド・イン・チャイナ(中国制造)」による世界への進出と「世界の工場」たる地位に安住することなく、人材を活用して、技術進歩を核心とする「中国智造」へと変わって行かなければならないのである。
(注2)上記の文章では、ソフトウェア開発も「研究開発」という言葉の範疇(はんちゅう)の中で捉えている。ソフトウェア開発も「研究開発」の一分野として捉えるのか、消費者のニーズに合わせた商品設計の修正も「研究開発」の一分野として捉えるのか、などについては、日本語と中国語のニュアンスの違いもあるし、語っている人のバックグラウンドによっても異なるので、緻密な議論をする際には注意が必要である。
(注3)「中国制造」は、「メイド・イン・チャイナ」の中国語訳であるが、上記の人民日報では、また新たに「中国智造」という「新語」を作っている。「人民日報」は、中国の新聞界では今でもリーダーであるので、この「中国智造」という言葉は、今後「はやり言葉」のように使われるようになるかもしれない(「中国智造」は、日本語や英語に訳しにくいので、「創新」などと同じように、日本語で表現する文章の中でも、変に訳さないで、漢字のままで使った方が間違いが少ないと思われる)。
中国国家指導者の相次ぐ沿岸部の視察や上記の人民日報の評論は、労働集約型製造業に大きく依存し、「世界の工場」と呼ばれるまでになって成長してきた中国経済が、今大きな曲がり角に来ていることを示している。
人民元為替レートの上昇や経済成長に伴う労働賃金の上昇により中国製造業の国際市場での競争力が失われつつあり、それに加えて世界的な不況や原油高等の原材料費の高騰によって、中国の輸出依存型製造業は非常に苦しい状況に陥っている。輸出型産業だけではなく、中国の国内市場においても、携帯電話や薄型テレビ等の製品においては、外国系ブランドの商品がシェアを伸ばし、中国の民族系ブランドはシェアが伸び悩んでいると言われている。
上記の国家指導者の沿岸部視察の記事では、金融改革などと並んで「自主創新」の重要性が繰り返し強調されていた。この考え方は、安い労働力に頼った経営構造ではこれからは国際競争で生き残れない、企業の自主努力によるイノベーションを図らなければならない、という「人民日報」の評論につながる考え方である。
これまで、中国の企業は、安い労働力、農民から収用した土地を地方政府から安く払い下げてもらえる、経済成長のためなら少々の環境汚染には目をつぶってもらえる、違法な材料を使ったとしても安ければ売れる、といった状況から来る「甘えの構造」の中で自らのイノベーション努力なしで高度成長を続けてきた。しかし、これからは、労働契約法施行後に急速に芽生えつつある労働者の権利意識に対応し、食品・薬品はもちろんのこと全ての商品に対する「メイド・イン・チャイナ」製品に対する世界の消費者の厳しい目に立ち向かい、国内では無頓着な環境汚染が許されなくなっている現状に対応し、原油や材料費の高騰を前にして、コスト面、性能・品質面で国際市場で生き残っていくには、中国の企業には相当な苦労が要求される。政府は、生き残りのカギはイノベーションだ、というスローガンは叫んでいるが、過去に研究開発を行ってきた基盤のない中国企業にとっては、スローガンだけではイノベーションはできない。企業自身にとっても、政府にとっても、中国の産業技術政策は、今、正念場に来ていると言える。
中国の大学や中国科学院などの公的研究機関には、相当の数の研究者がおり、一定のレベルの研究活動は行われている。それが、産業に活用されるまでには、まだ相当の努力が必要と思われる。
日本などのように企業側にイノベーション・マインドがあり、過去に様々な研究開発の苦労を積み重ねてきた技術的基盤があれば、政府は、基礎研究と企業における研究の間をつなぐ、いわゆる「ダーウィンの海」と呼ばれる領域を支援する、という政策を採ることが可能である。科学技術機構自身、そういった政府の政策を実行する役割を担っている機関であるが、こういった政府の政策は、企業側にイノベーション・マインドがあり、何がしかの支援があれば企業化まで持っていける一定の基盤を持っていること(企業自らが技術基盤を持っていなくても、社会の中に企業化を支える技術的基盤が存在してそれを容易に利用できること)が必要である。ところが、中国の企業には、そもそもイノベーション・マインドが希薄であり、社会全体として企業化研究を進めるための技術的基盤がまだ成熟していない。このような中で、中国が次のステップへ進むためには、まだまだ紆余曲折があるものと思われる。
日本や韓国、台湾でも、もともとは「物まね」とか「安物作り」とか批判された時代があったけれども、今では一定の技術力を持つに至ったのだから、中国も同じように壁を乗り越えて次のステップへ進むことは可能である、という議論は成り立ちうる。しかし、日本の場合、高度成長期にアジア地域にライバル的な存在はいなかったという好条件があった。韓国や台湾は、日本よりは後発だったが、あまり大きくはない国・地域なので政策上の小回りが効き、一定の分野に特化して集中的に投資を行えば比較的速いスピードで、得意分野における国際競争力を付けることができた(国の規模が小さくて政策上の小回りが効くことの有利さを最も効果的に発揮しているのがシンガポールである)。しかし、中国は、既にアジア地区において日本、韓国という大きなライバルが存在し、これらと対峙しなければならない状況に置かれているとともに、国内に広大な貧困地区と膨大な人口を抱えており、国内の経済レベルを高めながら国際市場における競争力を高めなければならないという日本や韓国にはない重いハンデを背負っている。
一方、中国には、日本や韓国にない大きな強みがある。それは「華人社会」という中国系の人々の世界的なネットワークが存在することである。台湾や香港はこれまで経済的には大陸部と独立して経済成長を遂げ、一定の資金力と技術力を持つに至っているが、基本的には同じ中国なのであるから、台湾や香港の力は結局は中国大陸部とひとつの経済圏として結集されることになるだろう。シンガポールは中国系市民が圧倒的に多い国であるし、マレーシアも経済的には中国系マレーシア人の力が相当強い。アメリカも、経済や研究分野における中国系の人々の力には相当なものがある。これら世界中の「華人社会」のパワーを結集すれば、中国の企業は、例えば、香港や台湾の資金を利用し、アメリカで基礎的な研究を行い、シンガポールやマレーシアで部品を生産して、中国大陸部で製品を組み立てる、といったグローバルな戦略を日本や韓国の企業とは比べものにならないくらいの短時間で作り上げてしまう可能性がある。
今回発表された2008年上半期の経済統計や中国の国家指導者の動きを見ていると、中国における安い労働力に立脚した労働集約型産業が困難に直面し、中国が転換期に来ていることがハッキリした、と言ってよい。中国政府は「労働集約型からイノベーション主導型へ」というスローガンは掲げているものの、それをどうやって進めるか、という具体的な政策は打ち出せるには至っていない。中国国内にある大学や公的研究機関の研究能力の高さと人材の豊富さ、世界に散らばる「華人社会の連携力パワー」といった中国にしかない特徴を活かして、このスローガンを現実のものにしていくことが今後の中国の課題となる。
中国はある分野では日本にとって競争相手でもあるが、総体的に見れば、中国の健全で安定的な発展は、日本の安定と発展のために必要不可欠な条件である。中国の産業が「労働集約型からイノベーション主導型へ」と転換する努力を図っていく中で、日本として何ができ、何をすることが中国にとっても日本にとってもプラスになるのか、を長期的視野に立って考える必要があると考える。
※この文章の感想・意見に係る部分は、渡辺個人のものである。