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【18-001】中国国務院:理論数学等基礎学科への支援強化を決議

JST北京事務所 2018年1月12日

 1月3日に行われた国務院常務委員会において、李克強総理は、理論数学等基礎学科がオリジナリティのあるイノベーション創出能力の向上に重要な意義があると特別に強調した。

 「数学特に理論数学は、我が国の科学研究にとって重要な基礎である。一部の大学で調査研究をした時に気付いたのだが、気を落ち着けて数学等の基礎学科を研鑽する人は多くない。」と、李総理は語り、「AIでも量子通信等でも、数学や物理等の基礎学科からのバックアップが不可欠である。我々に重要なオリジナリティのある研究成果が少ないことは、基礎学科の点で引っかかってしまっているためだ」と指摘した。

 当日の会議で、基礎科学研究への支援強化に資する措置を講じるよう決議した。李総理から、科学技術体制改革の深化、基礎科学研究の強化、オリジナリティのあるイノベーション創出能力の向上は、イノベーション駆動型発展戦略を実施し、イノベーション国家を建設するための重要な取り組みであると指摘された。

 李総理はこれまで視察時には幾度も、オリジナリティのあるイノベーションにとっての理論数学等基礎学科の重要な意義を強調していた。李総理は自分が過去に主宰した座談会で、数年前と比べて理論数学を選択して受験する生徒が増えているかどうか、ある学長に特別に尋ねたことがある。北京大学数学科学学院を視察した際、李総理は、理論数学研究をもっと重要な地位に上げるべきだと特に強調した。

 「数学等基礎学科の研究は将来に目を向けるべきだが、教育から取りかからなければならない」と、李総理は1月3日の会議において、教育部門と科学技術部門との協力強化を要求し、「良い環境をつくり、「冷板凳(訳注:冷遇される様、基礎学科のことを指す)」をホットなものにして、志を有する者が落ち着いて取り組めるようにしなければならない。大学及び一部の重点研究機関が、理論数学など重点基礎学科へもっと支援しなければならない。これは我々の長期的な大計である。」と述べた。

 また、「『冷板凳』を重要視するとは、現実的な発展を放っておいて良いというわけではなく、科学発明と応用革新は同等に大切である」と、李総理は基礎科学と応用研究の融合促進を強調し、「オリジナリティ、革新的な発明創造を重視するとともに、スマート製造、情報技術、現代農業、資源環境等重点分野の応用技術のイノベーションをも積極的に推進しなければならない」と求めた。

 基礎学科における研究への投入不足について、李総理は、「この面で、政府は支援規模を充実するだけでなく、体制制度のイノベーションにも気を配り、企業や社会からの基礎研究への支援を増やすよう工夫しなければならない」と指摘。

 「先進国では、企業は基礎研究の重要な力量であり、基礎研究が研究開発経費において大きな比率を占めている。我々はこの面で遥かに遅れている。」と語った上、「政府による誘導や税金のてこ入れ効果等の取組みを導入して、企業と社会から基礎研究へ支援を増やすよう奨励する」と提言した。

 当日の会議では、国際科学研究協力の拡大、戦略的科学技術人材の養成・招致強化、中国青年人材の育成、優秀なイノベーションチームによる基礎研究への安定的な支援、海外専門家による国家科学技術プロジェクトの主宰又は参与への支援等について決議した。

 李総理は最後に、「他山之石、可以攻玉(訳:よその山から出る石を用いてわが玉を磨く)」を引用し、「八方手を尽くして人材や知恵を誘致し、海外の頭脳と力を助けに借りることによって、我が国の基礎研究を飛躍的に発展させたい」との期待感を述べた。


出所:中国政府網 2018-1-4 http://www.gov.cn/premier/2018-01/04/content_5253247.htm