【18-006】中国科学院、次期「中長期科学技術発展計画」の策定準備に
JST北京事務所 2018年1月31日
中国科学院(CAS)は1月9日、2021~2035年をスパンとした次期の中長期科学技術発展計画(以下「中長期計画」と称す)に関する戦略研究を始動するための激励会を開いた。白春礼CAS院長、李 静海NSFC(国家自然科学基金委員会)党書記をはじめ、CAS本部およびCAS所属関係機関の関係者が多数参加した。CASウェブサイトが伝えた。以下にその要点をまとめる。
白院長は激励のスピーチで、中長期計画戦略研究の意義について、「国の戦略的研究機関として、CASは科学技術発展に関する戦略研究と計画作成を重視し、一 連の重要なアウトプットと計画が社会および世界の科学技術界へ大きな影響を与えているほか、国とCASの科学技術イノベーションにとっても重要な指導的役割を果たしている」と、説明した。本戦略研究から、国 の新しい中長期科学技術発展計画の策定へも科学思想と提言を提供したいとの期待も述べた。
また、中長期計画戦略研究の推進に当たって、白院長は、以下の3つの要求を提出した。
- 「習近平の新時代における中国の特色ある社会主義思想」と中国共産党第十九次全国代表大会(十九大)の精神の下、社会主義現代化強国建設を進める上で臨む新しい情勢とニーズを正しく捉える。
- 新しいラウンドのグローバルな科学技術変革・産業変革の戦略方向へ目を広げ、世界科学技術の新しい情勢と特徴を正確に捉えるため、戦略研究と計画策定を実施する際のコアとポイントとして、重 大イノベーション分野において布石を打つ。
- 国の戦略的科学技術機関として、新時代におけるCASの新たな位置づけ・使命を正しく認識し、2030年までに「四つの率先」(注)の全面的実現、2035年までに社会主義現代化の基本的実現、今 世紀半ばまでに社会主義現代化強国建設の全面的実現へ向けて強力な科学技術的サポートを提供する。
この他、同激励会に先だって行ったCAS役員会議では、本戦略研究の目標・任務、全体構成、重点課題、参与者、スケジュールおよび連携の仕組みなどが明確にされた。本戦略研究の実施は、全体研究チームと「 8+2」分野/プラットフォーム(注)という仕組みで分野ごとに進められるとみられる。
注:
・四つの率先:2013年7月、習近平国家主席はCASを視察した際、CASに対して、① 率先して科学技術の飛躍的発展を実現する②率先して国のイノベーション人材集結拠点を形成する③率先して国の高レベルな科学技術シンクタンクに発展する④率先して世界一流の研究機関をつくる―ことを要求した。こ れを受け、CASは2014年度の事業実施において、これらの「四つの率先」の実現に向けた行動を主要なミッションに位置づけた。
・「8+2」分野/プラットフォーム:CASが、社会経済の持続可能な開発と国家安全の視点から、「中国科学院『13・5』発展計画」で 重要なイノベーション分野として取り上げた基礎・最先端学際領域、先端材料、エネルギー、ライフ・健康、海洋、資源・生態環境、情報、光電・宇宙の8分野、およびデータ・コンピューティング・プラットフォーム、バ ッグサイエンス基盤施設の2プラットフォームをいう。
出所:
CASウェブサイト 2018-1-9付 URL:http://www.cas.ac.cn/yw/201801/t20180109_4631837.shtml