【18-008】北海道大学北京リエゾンオフィス開所式・中国科学院大学丁仲礼学長北海道大学名誉博士学位授与式
JST北京事務所 2018年4月2日
2018年3月25日、中国科学院大学(UCAS)玉泉路キャンパスにおいて、北海道大学の北京リエゾンオフィス開所式・中国科学院大学丁仲礼学長北海道大学名誉博士学位授与式が行われた。こ のリエゾンオフィスは、外国の大学のものとして初めて科学院大学のキャンパス内の一室に設けられるという。
写真1 リエゾンオフィスプレートの序幕
両大学の交流の契機は、2017年5月に上海で開催された日中大学フォーラムで、両学長が、ともに基調講演を行い、それぞれの大学を紹介し合ったこと。それから1年足らずの間に、昨 年12月の学術交流に関する協定、学生交流に関する覚書の締結、今回のリエゾンオフィス開設、丁学長への名誉博士学位授与へと協力が進んだ。
写真2 丁仲礼中国科学院大学学長
写真3 名和豊春北海道大学総長
これは、科学技術振興機構(JST)中国総合研究交流センター(CRCC)の米山春子参事役が祝辞で述べたように、「実行力と思いやりのある」二 人の学長の強いリーダーシップがあってこそ実現したものである。中国科学院副院長でもある丁学長は、両国の関係が厳しい時に中断していた日中科学技術政策セミナーを復活させるという判断を示した。同 セミナーは第1回の2004年以来、2010年まで文部科学省と中国科学院が共催していたが、その後の中断をはさみ、2016年にJSTと科学院との間で復活し、2017年には、以 前のように文部科学省と科学院との共催で再開した。名和豊春北海道大学総長は、昨年4月就任後間もなくの5月の日中大学フォーラムの基調講演に登壇した。また本年5月、広 州で開催される日中大学フォーラムにも出席予定で、中国との協力を重視している。
写真4 米山春子CRCC参事役
この日、丁学長からは、名和総長とは、「大学は、学術と同時に社会的な責任を果たしていくことも大切。科学技術の成果の産業化は、これからますます重要になる」との点で意見が一致。初 対面のときから古い友人のような交流が始まったという話があった。また丁学長はリエゾンオフィスを通じて、北海道大学の優れた経験を学んでいきたいと述べ、さらには、現 在整備している13のキャンパスにぜひ北海道大学の連携研究室を設けてもらいたいとの要請もあった。
また、名誉博士号の授与に当たり、自身の研究経歴を振り返り、若い時の知への渇望、研究に専念したころの思い出を語られた。その後、リーダーとして管理や行政にも携わることとなったが、研 究に専念したいとの思いがありながら、発想を変えたのは、どのポジションであれ、社会に貢献したいとの気持ちあれば、ポストなりの貢献ができると考えたからだと語った。優れたリーダーシップ、学 問に対する真摯な姿勢、また、この日のためにスーツを新調されたことをスピーチの中で明かされる気さくな人がらに、式の終了後も一緒に写真撮影を求める人の列が絶えなかった。
写真5 固い握手を交わす両学長
名和総長は、リエゾンオフィスは、開設するだけでなく運用が重要であることを指摘。2006年に北海道大学初の海外オフィスとして開設した北京事務所は、近年一時活動を停止していたが、北 京リエゾンオフィスの開所と同時期に北京市内亮馬橋に新たにオフィスを開設、活動を再開している。これら二つのオフィスに、さらに同日開催された中国での初めての同窓会も加え、中国との協力・交流を活発化し、ま た、学術だけでなく人と知のネットワークを構築していきたいとの発言があった。
新しいリエゾンオフィスの場所は、科学院大学の学長室と副学長室等の間にあり、まさに科学院大学の中枢ともいうべき位置である。責任者となる川野辺創北海道大学国際協力機構副機構長も、こ の場所に責任を痛感し、決意と意欲を新たにしていた。
式には、北海道大学の同窓生や北海道大学と研究交流を進めている中国科学院の二つの研究所の代表者など60名以上が参加した。
写真6 集合写真
両大学の今後の協力と交流に期待したい。