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【18-010】国務院「科学データ管理弁法」を交付

JST北京事務所 2018年4月13日

 国務院は、4月2日付で、科学データの管理や公開等を促進するため、「科学データ管理弁法」(以下、「弁法」という。)を公布した。弁法全文は以下のURLに掲載されている。

URL: http://www.gov.cn/zhengce/content/2018-04/02/content_5279272.htm

以下は、「弁法」から抜粋して日本語に抄訳したものである。これによれば、今後、政府の主管部局とその委託を受けた法人が科学データの収集・交換のための仕組みを整備することになっている。

第1章「総則」

・(第2条)「弁法」で定義した科学データは、自然科学、工学等の分野において、基礎研究、応用研究、試験開発等で生まれたデータ、および観測、視察調査、検 査検測等で取得して科学研究活動に用いられる原データ及びそれを基に生まれたデータを指す。

第2章「職責」

・(第7条)全国の科学データの全体的な管理と総合調整は、国務院科学技術行政部門が主に担当する。

・(第9条)データの生産収集、加工、保存、およびデータ管理システムの構築、データ公開目録の作成・更新、データ公開の便宜供与等は、研究機関、大学、企業等法人機関が担当する。

・(第10条)科学データセンターはデータ公開の重要な媒体とし、主管部門から条件の整った法人機関に建設するよう委託する。また、同条では、国内外での科学データの交流と協力を強化するようにも求める。

第3章「収集・交換・保存」

・(第12条)主管部門は、国家統一政務ネットワークとデータ共有交換プラットフォームの基礎の上に科学データの収集・交換の制度を創設する。

・(第13条)政府資金によるプログラムで得られたデータは、プロジェクト実施主体により関連の科学技術データセンターに提出しなければならない。その際に、デ ータセンターはデータを受け取った証明を発行する義務がある。各レベルの研究プログラムの管理部門は、科学データを回収・整理した上で各プロジェクトを事後評価する体制を構築するべきである。評 価後に産出された科学データも提出されなければならない。

(第14条)主管部門と法人機関は、健全な国内外学術論文データの収集・交換の管理制度を創設する。論文発表者は、海外の学術ジャーナルの論文発表前に、データを提出しなければならない。

第4章「共有と利用」

・データの公開について、政府予算資金の支援によって生まれた科学データは、公開が常態であり、非公開が例外であることを原則とすると定め、国の法令で特別に規制する内容以外のものを、国 家データ共有交換プラットフォームへ接続して社会や関係部門へ公開するよう求める(第19条)。

・データの公開方法等について、法人格のある機関(法人機関)によるデータ分類、機密性、公開条件等を明確化した上、オンラインダウンロード・オ フライン共有又はカスタマイズサービス等により社会へ公開するよう求める(第20条)。

第5章「秘密保持と安全」

・(第25条)国家秘密、国家の安全、社会公共の利益、商業秘密や個人プライバシーに関わる科学データは公開してはいけない。