【22-038】テンセント出資の基礎研究支援事業、初回の公募を開始へ
JST北京事務所 2022年07月13日
今年4月に設立されたテンセント社が出資して基礎研究を支援する「新基石研究者事業」では、7月1日から9月30日にかけて、第1回目となる2022年度の公募を実施することになった。北京日報が伝えた。以下にその概要をまとめる。
今回の公募は実験タイプと理論タイプに分けて進めており、分野は同事業の設立宗旨で対象分野として定めた数学・物質科学と生物・医学科学の両分野とするが、学科を跨る研究も推奨するという。
今年度の募集では、実験タイプは500万元/人・年、理論タイプは300万元/人・年で5年連続して支援することとし、合計60人を採択する予定。そして、応募者の条件として、①応募の時点で55才未満、②博士指導教官担当歴が5年以上、③国籍を問わないが、中国本土又は香港・マカオで常勤している、④毎年の研究時間が9か月以上確保できる、⑤基礎研究課題担当経験がある、そして研究第1線に在籍中、⑥同年度の「科学探索賞」(抄訳注:テンセントが設立した基礎研究などに従事している若手研究者を表彰する事業)に応募していない、ことが求められている。公募の採択結果は2023年の第1四半期に公表される見込み。
今回の公募について、同事業運営の中核的な役割を務める科学委員会の関係者らから、以下のコメントが寄せられている。
・施一公/科学委員会主席、中国科学院院士・西湖大学学長:
「審査の基準は、論文や特許、論文の被引用などより、過去の研究が世界へ影響を与えたか、これからの研究が基礎研究の最先端のものであるか、そしてそのテーマが、他人がやったことがあるかを重要視したい。」
・張傑/科学委員会委員、中国科学院院士・上海交通大学李政道(Tsung-Dao Lee)研究所所長:
「採択した研究者に明確な研究任務を課さなく、論文の数や成果の提出期限なども要求しない。長期・安定・フレキシブルな支援の提供によって、研究者に安心・安定な環境を与え、心を打ち込んで研究に従事させたい。」
研究者は「新基石研究者事業」の公式サイトを通じて応募することができる。
「新基石研究者事業」の設立については、以下サイエンスポータルチャイナのサイトで紹介している。
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