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【23-64】中国のマクロ経済政策の動向(その1)

2023年09月28日

田中修

田中 修(たなか おさむ)氏:
拓殖大学大学院経済学研究科 客員教授
財務省財務総合政策研究所特別研究官(中国研究交流顧問)

略歴

 1958年東京に生まれる。1982年東京大学法学部卒業、大蔵省入省。1996年から2000年まで在中国日本国大使館経済部に1等書記官・参事官として勤務。帰国後、財務省主計局主計官、信州大学経済学部教授、内閣府参事官、財務総合政策研究所副所長、税務大学校長を歴任。現在、財務総合政策研究所特別研究官(中国研究交流顧問)。2018年12月~23年3月ジェトロ・アジア経済研究所上席主任調査研究員。2019年4月~拓殖大学大学院経済学研究科客員教授。学術博士(東京大学)

はじめに

 3月の全国人民代表大会(全人代  )は、2023年の経済が順調に回復することを見越して、成長率目標を5%前後に設定した。しかし、1-3月期の経済は、回復・上昇傾向を示したものの、4-6月期に入ると回復のペースがスローダウンした。このため、党中央・国務院は、7月以降、民営経済の発展・壮大化促進、消費の回復・拡大、外資誘致の強化、貸出プライムレートの引下げ、不動産市場への金融支援、預金準備率の引下げ、減税・費用引下げ政策の継続・最適化・整備といった政策を矢継ぎ早に打ち出している。本稿では、回復がスローダウンした原因を分析するとともに、これに対する政策対応を時系列的に整理・紹介する。

1.2023年の主要目標

 3月5日、全人代が開催され、李克強総理が総理として最後の政府活動報告(以下「報告」)を行った。ここで、2023年の主要な経済目標が設定された。

(1)GDP成長率:5%前後(21年は5.5%前後、実績は3%)

 21年より目標が引き下げられた。政府の中長期計画(2021-35年)には成長率目標は定められていないが、習近平総書記は、2020年の党5中全会で「2035年に2020年のGDPを倍増することは可能だ」と述べている。これを達成するには年平均約4.7%の成長が必要であり、成長率が趨勢的に低下していることを考慮すると、最初の5年は5%程度の成長を確保しておきたいという願望もあるのだろう。

 なお、李強新総理は就任後初の記者会見において、「中国の経済総量は既に120兆元を突破し、ベースが高く、5%前後の成長を実現するには、決して気を緩めてはならず、一層の努力が必要である」と述べている。

(2)雇用

①都市新規就業者増:1200万人前後(21年は1100万人以上、実績は1206万人)

 新型コロナウイルスが初流行した2020年を除き、新規就業者増目標は「1100万人以上」と設定され、超過達成するのが常であったが、今回は実績に目標を合わせている。

 これは、2023年の大学卒業生が1158万人に達し、青年層の雇用安定のために目標を引き上げたということであろう。

②都市調査失業率: 5.5%前後(21年は5.5%以内に抑制、実績は12月末5.5%、年間5.6%)

 22年に比べ、5.5%「以内」から「前後」に表現が戻った。これは22年に目標を厳しくしてみたものの、コロナの再流行で大学卒業生の失業率が一時20%近くにまで悪化し、年間平均の失業率が5.5%を超えてしまったため、現実的目標に回帰したものと思われる。

(3)消費者物価上昇率:3%前後(21年は3%前後、実績は2.0%)

 例年の目標が踏襲されている。中国は先進諸国と比べ、物価が比較的安定しているため、目標の変更は必要なしと判断したのであろう。

2.マクロ経済政策の方向性

 報告は、「『穏(安定・穏健)』の字を第一に、安定の中で前進を求めることを堅持し、政策の連続性・的確性を維持し、各種政策の協調・連携を強化し、質の高い発展を共に促進するシナジーを形成しなければならない」とする。マクロ経済政策の方向性は以下のとおりである。

(1)積極的財政政策は力を加え、効果を高めなければならない

 「必要な財政支出の強度を維持し、財政赤字・特別債・利子補給等の手段の組合せを最適化し、質の高い発展を有効に支援する中で、財政の持続可能性と地方政府債務リスクのコントロール可能性を保障する」としている。財政政策は22年の「効果を高め、精確性・持続可能性を更に重視」から、強化と効果重視に変わった。ただ、財政の持続可能性と地方政府債務のコントロール可能性の保障を併せて重視している。具体的には、次の政策が掲げられている。

①2023年の財政赤字の対GDP比を3%で計上し、22年より0.2ポイント高める。財政赤字の規模は3.88兆元、22年より5100億元増とする。
財政部は財政健全化基準をEUにならって、財政赤字の対GDP比を3%以内としており、今回の3%への引上げは、経済発展支援と財政の持続可能性とのギリギリのバランスを図ったものである。

②税費用優遇政策を整備し、現行の減税・費用引下げ、税還付・納税猶予等の措置については、継続すべきものは継続し、最適化すべきものは最適化し、製造業、中小・零細企業と個人工商事業者及び特殊困難業種を際立たせて支援する。

③インフラ投資の財源となる新規地方政府特別債を3.8兆元計上し(22年より1500億元増)、投資先分野とプロジェクト資本金とする範囲を適切に拡大する。
この地方政府特別債の増額も、地方政府債務のコントロール可能性とのバランスを慎重に図ったものといえよう。

④科学技術の難関攻略・農村振興・地域重大戦略・教育・基本民生・グリーン発展等の重点分野を積極支援する。
財政支援の対象・分野も絞り込まれており、バラマキを回避している。

⑤中央財政資金を末端政府に直接交付する仕組みを一層整備し、末端の「基本民生・給与・運営保障」政策にしっかり取り組む。

⑥地方政府の債務リスクを確実に防止する。

(2)穏健な金融政策は精確・有力でなければならない

「流動性の合理的充足を維持し、金融政策手段の総量と構造の二重の機能を発揮させ、マクロ経済運営の実際の需要を満足させ、市場の予想を安定させ、金融リスクを防止・コントロールする」としている。具体的には、次の政策が挙げられている。

①2023年のM2と社会資金調達規模の伸びを名目成長率と基本的に釣り合わせ、実体経済の発展を支援する。
金融政策は22年の「柔軟・適度」から「精確・有力」に変わったが、マネーサプライの伸びを名目成長率と釣り合わせることで、景気中立的にしている。

②金融機関が製造業向け中長期貸出を強化するよう誘導する。

③小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの量の増加・範囲の拡大を推進する。

④科学技術(研究開発)型、「専門的・精密な・特色ある・革新的な」中小企業への貸出支援を一層強化する。
財政政策同様、金融政策も支援対象を絞り込み、バラマキを回避している。

⑤企業の総合資金調達コストと個人消費者ローンのコストを、安定の中で引き下げる。

⑥人民元レートの合理的水準での基本的安定を維持する。

⑦金融安定保障システムを強化し、重大リスクの対応・処理能力を高める。

3.2023年の重点政策

「報告」では、経済の回復を確かなものとし、民営企業・外資企業の将来不安を解消するため、以下の点を強調している。

(1)内需拡大に力を入れる

①消費

「消費の回復・拡大を優先的に位置づける。多くのルートで都市・農村の個人所得を増やす。自動車等の大口消費を安定させ、飲食・文化・観光・スポーツ等の生活関連サービス消費の回復を推進する」とし、内需拡大は消費を優先することを明らかにしている。

②投資

「更に多くの民間投資を誘致して、国家重大プロジェクトと不足部分の補充プロジェクトの建設への参加を奨励し、民間投資の活力を奮い立たせる」としており、政府投資のみならず民間投資を呼び込むことで、政府債務の過度な増大を防いでいる。

 なお、中央予算内の投資は6800億元(22年は6400億元)であり、中央政府・地方政府ともに投資額を22年より増やしている。

(2)民営経済・民営企業の発展・壮大化を支援する

「2つのいささかも揺るぐことなく」(①いささかも揺るぐことなく公有制経済を強固にして発展させ、②いささかも揺るぐことなく非公有制経済の発展を奨励・支援・誘導する)を確実に実施するとする。重要なのは②であり、民営経済の発展支援である。

 具体的には、民営企業の将来不安を解消するため、「法に基づき民営企業の財産権と企業家の権益を保護し、民営経済と民営企業の発展・壮大化を奨励・支援し、中小・零細企業と個人工商事業者の発展を支援する」としている。

 なお、李強新総理は就任会見において、民営企業について、次のように語っている。

①「2つのいささかも揺るぐことなく」は、わが国の基本経済制度の重要な内容で、長期の策であり、過去変わったことはないし、これからも変わることはない。
確かに22年の一時期、社会にいくらか不正確な議論があり、一部の民営企業家を内心憂慮させた。実際は、民営経済を発展させる問題において、党中央の方針・政策はずっと非常に明確である。第19回・20回党大会、中央経済工作会議は、いずれも「2つのいささかも揺るぐことなく」を強調している。これについて、我々の旗幟は鮮明であり、断固たるものである。

②民営経済の発展環境はますます良くなり、発展の余地もますます大きくなる。
我々は新たな起点の上で、市場化・法治化・国際化したビジネス環境を作り上げることに力を入れており、各種所有制企業に平等に対応し、法に基づき企業の財産権と企業家の権益を保護し、各種経営主体の公平な競争を促進し、民営企業の発展・壮大化を支援している。

③時代は、広範な民営企業家が新たな創業史を描くことを呼びかけている。
民営企業家が優秀な企業家精神を大いに発揚して、自信を確固として再出発することを希望する。我々各レベルの指導幹部は、民営企業に誠実に関心を払いサポートして、親しく清廉な政府・企業の関係を構築し、全社会の創業者尊重・企業家尊重の良好な雰囲気の形成を牽引しなければならない。

(3)外資をより強力に誘致・利用する

 外資企業の将来不安を解消するため、「市場参入を拡大し、現代サービス業分野の開放を強化し、外資企業の国民待遇をしっかり実施する。環太平洋パートナーシップに関する包括的・先進的な協定(CPTPP)等の高基準の経済貿易協議の加盟を積極的に推進し、主動的に関係ルール・規制・管理・基準に合わせて、制度型開放を着実に拡大する」とし、開放政策に変更がないことを強調している。

 なお、李強新総理は会見において、「対外開放は中国の基本国策であり、外部情勢がどのように変わろうとも、我々は断固前進する」と述べている。

(4)重大経済金融リスクを有効に防止・解消する

「金融体制改革を深化させ、金融監督管理を整備し、各方面の責任を徹底させ、地域的・システミックな金融リスクの形成を防止する」としている。重点は2点である。

①優良なトップデベロッパーのリスクを有効に防止・解消し、資産・負債状況を改善し、無秩序な拡張を防止し、不動産業の平穏な発展を促進する。
トップデベロッパーの経営破綻による連鎖倒産を防ぐことに重点が置かれている。

②地方政府債務リスクを防止・解消し、債務の期限構造を最適化し、利息負担を引下げ、新規の債務増に歯止めをかけ、既存債務を解消する。

4.GDPの推移

(1)概況

 2023年1-6月のGDPは、前年同期比で実質5.5%の成長となった。四半期別では、1-3月期4.5%、4-6月期6.3%である。これを見ると、経済は順調に回復しているようであるが、中国の四半期成長率の算出法は、先進国と異なることに注意が必要である。

 先進国の2023年4-6月期成長率は、1四半期前の23年1-3月期と比較して算出している。これを前期比成長率という。これに対し、中国は1年前の22年4-6月期と比較して算出している。これを前年同期比成長率という。

 前期比成長率と比べ、前年同期比成長率は前年同期の経済状況に左右される。たとえば、22年1-3月期の経済は、1-2月までは順調に回復しており、かなりベースが高かった。このため、23年1-3月期の経済も比較的回復が順調であったにも関わらず、前年のベースが高かったため、成長率は年間目標を下回る4.5%にとどまったのである。

 これに対し、22年4-6月期は、上海のロックダウン等で経済が著しく落ち込み、ベースが低くなった。このため、後述のとおり4-6月期の回復のペースがスローダウンしていたにも関わらず、前年のベースが低かったため、成長率は6.3%と不自然に高い数値となったのである。

 つまり、1-3月期、4-6月期の成長率は、いずれも実際の経済動向を正確に反映してはいない。前年同期比成長率にはこのような欠点があるため、先進国は採用していないのである。ただ、中国も前期比成長率を試算として発表している。これによれば、1-3月期の成長率は2.2%、4-6月期は0.8%である。これは3ヵ月分の成長率であるので、年率換算するには4倍すればいいのだが、そうすると、1-3月期の年率換算成長率は8.8%、4-6月期は3.2%と、政府の公式発表とは全く違った数値になり、経済が4-6月期に入り、著しくペースダウンしていたことが分かる。ただ、前期比成長率はあくまでも試算値であり、3カ月ごとに遡って改定されるので、絶対値を過度に信用するのは危険である。

(2)経済回復のペースダウンの要因

 では、どの要因が4月以降の経済回復をペースダウンさせたのであろうか。

 第1に、消費の回復の弱さが挙げられる。5月のメーデー休暇や夏季休暇の旅行動向をみると、ゼロコロナ政策の廃止以降リベンジ観光が一挙に増え、旅行者の数はコロナ前の水準に戻っている。しかしながら、一般商品・サービスの消費水準が十分回復していないことが指摘されている。

 その最大の要因は、個人所得の伸びの低さであろう。ゼロコロナ政策は、2次産業・3次産業に大きなダメージを与えた。1-6月の工業企業利潤総額は前年同期比-16.8%であり、マイナス幅は毎月少しずつ縮小しているものの、22年の水準に回帰していない(1-7月は-15.5%)。企業の収益が回復していない状態では、賃上げも容易ではない。このため1-6月の個人所得の伸びは、都市住民が前年同期比実質4.7%増、農村住民が実質7.2%増と、都市部の個人所得の伸びが成長率をかなり下回っている。労働分配率が低下しているわけであり、これが消費の制約要因となっているのである。

 第2に、不動産市場の低迷がある。6月の全国70大中都市の新築住宅価格は、38都市が前月比で低下しており、低下都市は5月より14増えている(8月はさらに52都市に拡大)。1-6  月の分譲建物販売面積は前年同期比-5.3%と、1-5月の-0.9%から低下幅が拡大し(1-8月は-7.1%)、販売額も1.1%増と1-5月の8.4%から大きくダウンしている(1-8月は-3.2%)。このため、1-6月の不動産開発投資も-7.9%であり、1-2月から毎月マイナス幅が拡大している(1-8月は-8.8%)。

 また、不動産市場の低迷は、不動産開発投資以外にも影響がある。マンション建設が活発化すると、工業では鋼材・セメント・アルミ・板ガラスの生産が増える。小売面では、内装・建材、家具、家電・音響製品の売上が伸びる。また、国有地使用権の譲渡収入が増えるので、地方政府のインフラ投資も活発化する。現在、これが全て裏目に出ているのである。

 第3に、民間投資の不振がある。民間投資は22年1-2月には前年同期比11.4%増であったが、その後毎月伸びが低下し、1-5月についにマイナスに転じ、1-6月は-0.2%になった(1-8月は-0.7%)。民間投資の不振の原因として、国家発展・改革委員会は、まず不動産開発投資の低迷を挙げており、1-6月、不動産開発以外の民間投資は前年同期比9.4%増であり、製造業の民間投資は8.4%増、インフラ民間投資は15.6%増であると指摘する。ただ、それ以外に直面する問題として、以下の点を挙げている。

①  投資の自信

 伝統産業の伸びる余地は限りがあり、新興産業については、ある民営企業は発展の趨勢がはっきり見えず、これを正しく把握できず、投資方向が分からなくなっている。

②参入のハードル

 民営企業の投資参加意欲がかなり強いプロジェクトに、なお不合理なハードル・規制が存在する。

③生産要素の獲得

 民営企業の資金調達難・資金調達コスト高の問題が依然存在し、ある民間投資プロジェクトはなお土地・エネルギー使用等のカギとなる要素の制約を受けている。

④投資環境

 これまで、ネット上で民営経済・民営企業に対して友好的でない言論があり、一部の企業・地方の積極性に影響を与えている。

⑤政策方法

 ある地方は民間投資を奨励・促進する際に、なお革新的思考・市場化の方法・改革的措置が欠けており、「奨励しない、奨励がうまくない」等の問題が存在する。

 第4に、民営企業の経営困難がある。民営企業の大手(プラットフォーム企業・デベロッパー・教育産業)は、2020年秋以降、政府から厳しい規制・取締りを受け、軒並み業績が悪化している。また民営中小・零細企業は、資金調達難・資金調達コスト高の問題があり、コロナ禍で経営が一層困難となっている。さらに、民営企業・民営企業家に対する左派からの誹謗中傷もかなりひどいようで、依然として「民営企業退場論」「民営企業国有化論」も根強く、先行き不安が広がっている。

 民営企業は大学卒業生の有力な就職先でもあり、民営企業の不振は16歳-24歳人口の失業率を21.3%にまで高め、国家統計局はついに青年失業率の公表の暫時停止に追い込まれた。

 第5に、輸出が不振となっている。輸出のドルベースの伸びは22年10月からマイナス基調となっており、3月・4月は前年の不振の反動でプラスになったものの、5月から再びマイナスに転じ、6月は-12.4%となった(8月は-8.8%)。

 輸出の不振の原因につき、商務部は、主として4つの原因があるとする。

①外需全般が引き続き疲弊している

 主要な先進国は依然として緊縮政策を採用して高インフレに対応しており、一部の新興市場は為替レートが大幅に変動し、外貨準備が不足している。これらはいずれも輸入需要を顕著に抑制している。

②  電子情報産業が周期的に下振れている

消費電子製品は、わが国の優位性のある輸出製品であるが、この分野には「オリンピックサイクル」が存在し、現在この4年前後のサイクルは谷にある。この影響を受けて、わが国の輸出の3割超のウエイトを占めるコンピューター・集積回路・携帯といった製品の伸びが2ケタの低下となっている。

③前年同期の輸出入のベースが顕著に高かった

 22年5-6月、月平均の輸出入額は3.57兆元であり、1-4月の月平均3.14兆元と比べ4300億元高かった。

④輸出入価格が下落している

 現在、国際大口取引商品価格がずっと弱含みで、5月のわが国の輸入価格は4.5%下落し、6月はさらに8.5%下落し、輸出価格の前年同期比は5月以降プラスからマイナスに転じている。

 第6に、対中直接投資が減少している。外資投資の累積の伸びは、ドルベースでは22年1-7月から低下傾向となり、23年1-4月にはマイナスに転じ-3.3%となっている(1-3月、1-6月のデータは非公表、1-7月は-9.8%)。人民元ベースでも1-6月にプラスからマイナスに転じ、-2.7%となった(1-8月は-5.1%)。

 この理由としては、22年の厳しいゼロコロナ政策と、23年7月の「反スパイ法」の厳格化、不動産市場の不振により、外資企業が対中投資への懸念を強めたことがあろう。

 このように、経済回復のペースダウンの要因は様々であるが、それぞれが複雑に絡み合っており、その解決は容易ではない。

その2 へつづく)


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